聖路加国際大学についてUniversity Information

2017年度看護学部卒業式式辞

学長 福井 次矢
2018年3月12日

 本日、卒業式を迎えられた皆さん、おめでとうございます。また、ご両親はじめご家族、ご支援をされてこられた皆さまにもお祝い申し上げます。
卒業生の皆さんは、この4年間ないし3年間を振り返って、どのような感想を持っていますでしょうか?いやだったこと、ストレスに感じたこと、つらかったことなど、いろいろな事柄が思い出されることでしょう。しかしながら、今、この瞬間は、そのような大変な時期を乗り越えた満足感と、将来への期待感で胸がいっぱいのことと思います。心から、お慶び申し上げるところであります。
 ご存知のように、学位授与式・卒業式は、英語でcommencement ceremonyとも言います。Commencementには物事を始めること・開始という意味があります。まさに、皆さんにとっては、本日を期して、当大学で学び身に付けた知識や技量、態度を、さまざまな形で社会の多くの人々に還元するという、看護のプロフェッショナルとしての仕事が始まることになります。

皆さんは、「病気や悩み、困難に苦しんでいる人々に手を差し伸べたい」という気持ちから、看護学を修めようと思い、本学に入学されたことと思います。「病気や悩み、困難に苦しんでいる人々に手を差し伸べたい」という気持ちは、他の誰かから言われて、心に根付くものではありません。人間としての本質のレベルで、心の奥深くに宿っている価値観としての他者への「優しさ」でなければ、看護を職業として選ぶことはなかったはずであります。そのような他者への「優しさ」を、本学の伝統あるキリスト教の精神と先進的なカリキュラムに則った教育で育み、看護学の深い知識と技術を身に付けられたことと思います。

しかしながら、真に優れた看護の実践者になるには、卒業後も勉学を続け、臨床の技を身に付ける必要があります。看護を含む医療分野の学問・科学技術の発展と現場への導入は、誰の予想をも超えて早く、4、5年間勉強しなければ、あっと言う間に時代遅れになり、患者さんの命に直結するような臨床現場には怖くて近寄れなくなってしまいます。

世界を変えた科学者であるアルバート・アインシュタインが「学べば学ぶほど、自分が何も知らなかった事に気づく、気づけば気づくほどまた学びたくなる。」という言葉を残しています。私自身、聖路加国際大学、聖路加国際病院を預かる立場にある者として、日々強く感じるのは、われわれ医療に携わる者の仕事の本質は「学び続けること」、一人ひとりが「価値ある変化をし続けること」にある、ということであります。
 皆さんの進路はさまざまと思いますが、昨日よりも今日、昨年よりも今年、一歩一歩自分自身を高める努力を続け、自分自身が変化し向上することを実感し、そのことに喜びを見出し、同時に、多くの人々・社会に役立つ営みからなる人生を送られますよう祈念いたします。

過去20~30年間で、わが国における4年制の看護大学あるいは看護学部は急増していて、250を超えた現在も、毎年さらに増え続けています。そのような競争的状況下で、聖路加国際大学における看護教育は、今後とも、教育の質のさらなる向上をめざして、カリキュラムの改革を続けてまいります。歴史を顧みるまでもなく、聖路加国際大学の卒業生には看護関係のさまざまな分野でのリーダーシップが期待されます。大学が発展を続けるためには、卒業生の皆さんからのフィードバックが不可欠であります。今後とも、母校の発展に貢献していただけますようお願いいたします。また、ご家族の皆様には、将来にわたって、当大学の発展を見守っていただき、引き続きご協力、ご支援賜れば幸甚に存じます。
卒業生の皆さんが、今後、それぞれの専門分野で活躍され大きく飛躍されますこと、そして、近い将来、機会がありましたら、さらに大学院で勉強するため、あるいは教員として、聖路加国際大学に戻ってきていただけますようお願いいたします。
改めまして、本日、学士として心晴れやかに卒業されることに心からお喜び申し上げ、私からの式辞とさせていただきます。