聖路加国際大学についてUniversity Information

2019年度学位記授与 看護学部卒業生代表 答礼のことば(2020年3月10日)

看護学部卒業生代表 松本 ゆり子

 桜のつぼみが膨らみ始めた入学式の朝、慣れないスーツに袖を通して、微かな不安とこれから始まる新しい生活への期待を胸に聖路加国際大学の門をくぐった日が、まるで昨日のことのようです。この4年間の学生生活は、常に楽しいことばかり、では勿論ありませんでしたが、将来の夢に着実に近づいていく喜びに溢れていました。

 看護学生として過ごした日々の中、私にとって最も思い出深かったことは、月並みかもしれませんが、やはり実習でした。はじめて患者さんを受け持った実習で私は思い描いていた看護を実践できず、理想と現実のギャップを前に葛藤し、そして自分は看護師に向いていないのではないか、と不安に思いました。思い詰めた私は、気持ちが焦るあまり病室の扉を開けることさえ怖くなり、実習における最善の行動を探して、扉の前で立ち竦んでしまいました。それは、実習中1度や2度のことではありませんでした。そんな時、実習の指導者は私の話をよく聴いてくださり、私が自らの力で答を見つけ出せるように助言してくださいました。また友人達は各々が精一杯、自らの課題に真剣に取り組む姿と、励ましや何気ない日常の言葉で私を助けてくれました。先生方の助言と友人達からもらった言葉によって、私は冷静さを取り戻し、患者さんと向き合うことが徐々に怖くなくなっていきました。そして、患者さんが暮らしていくにあたり、どのような支えになることが、最も良いのだろうかと具体的に考えられるようになっていきました。実習でのこのような経験を通して、私は看護という学問を学び続けたいと切に願うようになりました。

 また、学生生活の4年間は実習や講義に加えて、海外研修に参加して国際的な視野を広げ、サークル活動により、関心のある分野の教養を深めました。これらの活動で得られたものは様々であり、直接的に看護に関わるものもあれば、個人としての厚みを増すような学びもありました。そして卒業を迎えた今、私は講義や自習で習得した知識という「点」に、それらの「点」と「点」を結びつける「線」としての役割を持つと考えられる実習を経て、研修や課外活動による「彩」を加えた自分なりの「地図」を手にしているという思いでおります。学友達もきっと各々が自分なりの「地図」を手にしていることと思います。この聖路加国際大学で得た「地図」を基に、私は一人の看護師として、周囲の方達と共に、患者さんを中心としたより良い看護の実現のために、学び、歩み続けていこうと思います。今後、道に迷ってしまった時は「地図」に描かれた「点」や「線」や「彩」を辿り、また新たに書き加え、時には見直していきながら、自ら研鑽し続ける勇気を起こそうと思います。

 最後になりましたが、4年間を共に過ごした学友達、学生生活を支えてくださった先生、及び職員の方々に感謝申し上げます。そして、家族に感謝すると共に、聖路加国際大学の一層の発展を祈念し、卒業の言葉と致します。