聖路加国際大学についてUniversity Information

2022年度学位授与式 学長 祝辞(2023年3月10日)

学長 堀内 成子

看護学部

本日、学位を取得し本学を卒業される看護学部124名の皆さん、おめでとうございます。
皆さんを支え、この日を心待ちにしていらしたご家族・ご友人の皆様に心からお祝い申し上げます。
教育にご支援いただきました患者様、多くの保健・医療機関の皆様、同窓会をはじめ奨学金や寄付等のご支援をくださいました皆様に心より御礼申し上げます。

卒業生の皆さんが本学に在籍していた期間のほぼすべてが、新型コロナウィルス世界的流行に見舞われた時間でした。白楊祭も、クリスマス祝会も、実習も、オンラインという誰も想像しなかった形態になりました。 5月からは新型コロナは、インフルエンザと同じ第5類に分類されると聞くと、ああ、待ちに待ったポスト・コロナ時代が来るのだなあと思います。マスクを外して、おしゃべりする、肩を触れ合う、会食することの楽しさを満喫できると思います。
withコロナ時代に不自由な学業生活を創意工夫と努力とで乗り越えて、目標であった看護の基礎教育を終えることができる皆さんに心から拍手を贈りたいと思います。「大学時代は、コロナ一色だったよ、でも、実はこんな楽しみもあったのよ」と10年後に語れると信じています。

キリスト教の宣教医であった本学創設者トイスラー博士の願いもとに建てられた本学は、2020年に看護教育100周年を越え、今日その歴史を振り返ると、いくつもの困難があったことがわかります。それぞれの時代に火災、地震、第二次世界大戦、病院建設のための資金集め等です。
昨年12月末に歴史編纂室からトイスラー博士の伝記「An Adventure in Christianity」の日本語訳が届きました。私は今からちょうど100年前におきた「関東大震災」のページをめくりました。
『1923年9月1日(土曜日)午前11時58分、突然上下に揺れる地震を感じた。ナースステーションにあったすべてのものが次々に落下し、(中略)・・・・廊下を歩いて進もうとしたその時、床が真っ二つに割れた為、それ以上進むことを諦めるしかなかった。』『その時、現場を離れた看護師は一人もおらず、当時病棟は満室(80人収容)だったにもかかわらず、わずか15分間のうちに、全患者の屋外避難が完了し、その際、怪我をしたものは1人もいなかった。』
えっ、どうやって?と思いますよね。
『3階にいた看護師たちは、最初の揺れが止むまで、寝台の下へもぐるように患者に指示した。最初の揺れが6分間続いた後に、次の揺れが来るまでに、3階にいた看護師たちは、自分で歩ける患者以外は、担架や畳にのせて運ぶか、看護師が背負って移動させた」とあります。
その場にいた看護師・職員が瞬時に判断して、行動したのだと思います。素晴らしいですね。私は、看護師の『考える、感じる、実行する』という専門職性に備わっている特性が発揮だと思います。いや、これは看護師だけの専門職性ではないかもしれません。誰かと共にこの時代を平穏に暮らしていたいと思う人間の特性かもしれません。

ポスト・コロナの次なる10年後、20年後は、どのような世界になっているのでしょうか。もしかすると、病棟には1人の看護師と、検査ロボット、搬送ロボット、診断医師ロボット、だけかもしれません。そのとき、皆さんが時代の求めに応じて、「知と感性と愛のアート」が示すキリスト教の精神を受け継ぐ人であることを心より願います。
本日、式終了後30分だけ改修工事を終えたチャペルの中に入れます。どうか、トイスラー博士の写真の前で静かに、あなたの志を伝えてください。

皆さんにとって卒業後の世界では、障壁となる出来事があるでしょう。初めての仕事や課題で、失敗はつきものです。出来ない自分を認めることは、情けない、恥ずかしい、辛いことでしょう。でも、できない自分を認めない限り、成長はありません。そして、工夫と努力を重ねてください。人の見ていないところで努力してください。失敗したことを、認めない。「出来ない自分はいないはず」という妄想は捨てましょう。
そして、1ミリ単位の小さな進歩であっても、「あっ、先週よりいいかも」と成長を喜ぶあなたでいてください。「看護師になりたい、医療に貢献したい」という意志を持ち続けて、やり抜いてください。

聖路加で学んだ人は、事を成し遂げる覚悟と方法を身につけていると信じています。どうか謙虚に周囲の人々から教えを乞う姿勢を持ち続けて、未来へと進んでください。
これを持ちましてお祝いの言葉といたします。


看護学研究科

本日、学位を取得し本学を・修了される、大学院看護学研究科修士課程54名、博士後期課程4名の皆さん、おめでとうございます。
皆さんを支え、この日を心待ちにしていらしたご家族・ご友人の皆様に心からお祝い申し上げます。
教育・研究にご支援いただきました患者様、多くの保健・医療機関の皆様、同窓会をはじめ、奨学金や寄付等のご支援をくださいました皆様に心より御礼申し上げます。

修了生の皆さんが本学に在籍していた期間のすべてが、新型コロナウィルス世界的流行に見舞われた時間でした。授業も、学位審査も、学会発表も、データ収集もオンラインという誰も想像しなかった形態になりました。感染症への対応など、現場の多忙さゆえに休学を余儀なくされた方、データ収集方法や期間を延長せざるを得なかった方もいらっしゃると思います。困難が続く一方、対面で語り合う喜び、Web学習の利便性を最大限に駆使し、学ばれたことと思います。5月からは新型コロナは、インフルエンザと同じ第5類に分類されると聞くと、ああ、待ちに待ったポスト・コロナ時代が来るのだなあと思います。マスクを外して、おしゃべりする、肩を触れ合う・・・コミュニケーションの豊かさを満喫できると思います。
withコロナ時代に不自由な学業生活を創意工夫とで乗り越えて、目標であった看護学の大学院教育を修了なさる皆さんに心から拍手を贈りたいと思います。「大学院時代は、コロナ一色だったよ。でも、実はこんな発見と楽しみもあったよ」と10年後に語れると信じています。

キリスト教の宣教医であった本学創設者トイスラー-博士の願いのもとに建てられた本学は、2020年に看護教育100周年を超えました。その歴史はいくつもの挑戦を切り拓いてきた道のりでした。記念事業のひとつに「聖路加の看護100のエピソード」を刊行しました。卒業生・病院職員や患者さんからお寄せいただいたおひとり1頁ずつの思いを集めた本です。
その中に「学び その多様性」という章があります。タイトルは『育て直しの場』。「母校聖路加は、私にとって、育てなおされた場であり、生涯の友をもたらしてくれた場であり、職業人生の基礎を培ってくれた場である。」で始まります。学部では「先生方の眼は厳しく、窮屈で仕方がないと思ったこともあったが、それまでの人生で欠けていた自分の意志や主張を明確にして責任を果たすこと、大人の振る舞いを教育された」と「それが育て直された意味だと」。そして、大学院での学びは、「ちっぽけな人生だけれど、苦悩する人のため、看護職として必要だと思うことに信念をもって」、そして次が大切なフレーズです。「誰もやっていないなら自分がやろう」と取り組む。その礎になったのは、大学院で学んだ「看護のスピリット」であると記しています。
 私は、この「誰もやっていないなら自分がやろう」と引き受ける勇気と覚悟、このフレーズに心震えました。
日野原重明先生も、いくつもの誰もやっていないことをやり遂げられたことは皆さんご存知だと思います。例えば、今から40年前には、「生活習慣病」という概念はありませんでした。また血圧も医師だけが測るものと信じられていた時代があります。霞が関のお役人に何度、否定されても、言い続けること、やり続けることで道は拓きました。

ポスト・コロナの次なる10年後、30年後は、どのような世界になっているのでしょうか。もしかすると、病棟には1人の看護師と、検査ロボット、搬送ロボット、診断医師ロボット、だけかもしれません。そのとき、皆さんが時代の求めに応じて、「知と感性と愛のアート」が示すキリスト教の精神を受け継ぐ人であることを心より願います。
本日、式終了後30分だけ改修工事を終えたチャペルの中に入れます。どうか、トイスラー博士の写真の前で静かに、あなたの志を伝えてください。

皆さんにとって修了後の世界では、障壁となる出来事があるでしょう。初めての仕事や業務で、失敗はつきものです。出来ない自分を認めることは、情けない、恥ずかしい、辛いことでしょう。でも、できない自分を認めない限り、成長はありません。そして、人の見ていないところで努力をしてください。そして、1ミリ単位の小さな進歩であっても、「あっ、先週よりいいかも」と成長を喜ぶあなたでいてください。「専門職になりたい、医療に貢献したい」「誰もやっていないなら自分がやろう」という意志を持ち続けて、やり抜いてください。

聖路加で学んだ人は、事を成し遂げる覚悟と方法を身につけていると信じています。どうか謙虚に周囲の人々から教えを乞う姿勢を持ち続けて、未来へと進んでください。
これを持ちましてお祝いの言葉といたします。




Degree Conferral Ceremony, Academic Year 2022,
Congratulatory Address from the President

Congratulations to the 54 Master‘s and 4 doctoral graduate in Nursing Science on your diplomas today, including our graduate from Thailand.
I would also like to say congratulations to the family and friends who so supported everyone here and long awaited for this day. And to the patients who have supported their studies, the many healthcare and medical facility staff, the alumni association, and all those who have shown their support through scholarships and donations up to now, I hereby express my sincerest gratitude.

COVID-19 has affected every part of your studies here from classes to research. Some students were even forced to postpone their studies. Despite this, there were also positives. Changing to online has taught us the joy of face-to-face conversations and made studies more convenient.
I am truly proud of all of you for the diligence and creativity you have shown that allows you to be here today.

Despite various challenges such as disasters and war, this university has opened many paths in the more than 100 years since its founding thanks to the firm beliefs of those before us. No matter what the world becomes in the upcoming decades, I hope that you remember the Christian values this university has taught you and become the leaders in your fields that your generation needs.

What will the world look like in the next 10 or 30 years post-COVID? Perhaps there will be only one human nurse, an examination robot, a transport robot, and a diagnostic physician robot in hospitals. At that time, I sincerely hope that all of you will be able to respond to the demands of the times and carry on the Christian spirit that "the art of knowledge, understanding, and love" represents.

Today, for 30 minutes after the ceremony, you will be allowed inside the Chapel, which has finished undergoing renovations. Please share your aspirations quietly in front of Dr. Teusler's picture.

Please keep in mind the mentality of “the more noble, the more humble” is one that must not be forgotten. This, I would like you to carry with you. The young, green rice plant grows and grows, eventually sprouting. And the more the rice plant matures, it faces downward, drooping as if it is crawling. This saying expresses that humans, too, become humble as their knowledge and virtue deepens.

I believe that those who have studied at St. Luke’s have the mentality and methods to see things through to the end. Stay humble, be proud of the fruits of your labor, and go forth towards the future.


公衆衛生学研究科

Congratulations to the 35 Master‘s and 3 Doctoral Public Health graduates on your diplomas today, including our graduates from Bangladesh, Nepal, Myanmar, and Vietnam.
I would also like to say congratulations to the family and friends who so supported everyone here and long awaited for this day.
And to the patients who have supported their studies, the many healthcare and medical facility staff, the alumni association, and all those who have shown their support through scholarships and donations up to now, I hereby express my sincerest gratitude.

COVID-19 has affected every part of your studies here from classes to research. Some students were even forced to postpone their studies. Despite this, there were also positives. Changing to online has taught us the joy of face-to-face conversations and made studies more convenient. I am truly proud of all of you for the diligence and creativity you have shown that allows you to be here today.

This University has its origins in St. Luke's International Hospital, which was founded in 1901 by the American missionary physician, Dr. Rudolph Bolling Teusler. Dr. Teusler was only 25 years old when he was sent to St. Luke's, and despite the difficulties he faced, including the Great Kanto Earthquake, he managed the hospital by taking advantage of the characteristics of the Japanese culture and people.

St. Luke's International Hospital had begun activities in a department of public health, which was not established anywhere else at the time. The hospital then lobbied the city of Tokyo to establish it as an independent public health center, and in 1935, the public health center was finally made independent. The public health center established in Chuo Ward became the first model public health center in Japan. This culture of taking on challenges that no one else has done and leading the way has become this school's culture and has been passed down from generation to generation.

Dr. Shigeaki Hinohara, the former Chairperson of the Board of Trustees who passed away at the age of 105, also accomplished something that no one else had done. Forty years ago, the concept of "lifestyle-related diseases" did not exist. Dr. Hinohara continued to preach the importance of paying attention to lifestyle habits when considering the prevention of heart disease and stroke, and even though he was repeatedly denied by officials at Kasumigaseki, he paved the way by continuing to say and do so. This has led to today's preventive medicine and longevity society.

What will the world look like in the next 10 or 30 years post-COVID? Perhaps there will be only one human manager, an examination robot, a transport robot, and a diagnostic physician robot in hospitals. At that time, I sincerely hope that all of you will be able to respond to the demands of the times and carry on the Christian spirit that "the art of knowledge, understanding, and love" represents.

I believe that those who have studied at St. Luke’s have the mentality and methods to see things through to the end. Stay humble, be proud of the fruits of your labor, and go forth towards the future.


Shigeko Horiuchi
President,
St. Luke’s International University