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卒業式・修了式・感謝礼拝 卒業生・修了生へのことば(2019年3月9日)

看護学部長・看護学研究科長 堀内 成子

 本日、ここにご卒業を迎えられる学部119名の皆さん、大学院の課程を修了される修士課程55名、博士課程7名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

 皆さんを支え、この日を心待ちにしていらしたご家族・ご友人の皆様に心からお祝い申し上げます。
 また、本日ご列席いただきました聖路加国際病院をはじめ、同窓会の皆様、ここまでの学びにご支援いただきました患者様、多くの保健・医療機関の皆様に心より御礼申し上げます。

 学部の卒業生の皆さんは、4年前、3年前あるいは2年前にはじめて看護の世界に飛び込み、教師や仲間たちと語らう中で、また多くの書物や患者さんと触れ合う中で、看護とは何かを学びました。これまで自分の人生では出会うことのなかった大きな試練に立ち向かう人々に出会ったとき、人間のもつ強さや可能性を教えられたことでしょう。おそらく入学前には、ただ憧れだった看護の世界が、今は、自分の言葉で、その限界や矛盾を語ることができるようになったことでしょう。

 医療現場で起こっていることは、平穏な暮らしの中では体験しない非日常の出来事であり、病は単に身体や精神に起こる変化というよりむしろ、人生に起こる激しい揺さぶりであります。看護を学ぶということは、人々の痛みや予想外の出来事に直面することであり、他人事ではなく自分のことのように怖く不安な経験だったことでしょう。それでも、仲間に支えられ、家族に支えられ、やり遂げました。ここから始まる皆さんの看護職としてのスタートに立ち会えた事を、私たち教職員は皆、祝福し誇らしく感じています。

 これから就職や新しい世界に飛び立つ皆さんへ、お伝えします。新しい職場で誰でもが、できれば、うまくやりたい、好かれたい、褒められたい。しかし、それはあきらめて下さい。うまく行ったとしても、たまたまのビギナーズラック。初めから上手くいくことは、ありません。

 注意を受ける、間違いを指摘される、何度もやり直しということの連続でしょう。

 それでいいのです。

 これだけは覚えて欲しいのですが、<自分の失敗は、全てが財産> 。

 誰にだって新人時代があり、失敗した分だけ成長できるのです。失敗すると、恥ずかしくって、情けなくって、消えて無くなりたいと思うかもしれません。しかし、きっとそこには、意味があります。そしてきっと誰かが助けてくれます。

 そして、その出来事は、きっといつかあなたの物語となり、生涯の宝物となります。

 どうか、失敗を恐れないで、人間らしく生きぬいて進んでください。
 
 さて、大学院を修了される皆さんは、実践や教育経験を通じて壁にぶつかり、時に息苦しさを覚えて、あるいはさらなる資格を得るために大学院へ進学なさいました。

 そして大学院時代の学びを通じて、視野の広がりや、物事を深く洞察する力を獲得し、医療現場にある問題の背景を知り、変革の手がかりを見つけることができたでしょうか。生涯をかけて探求したい研究テーマを見つけ、あるいは自分の得意分野で実践する力を身につけたことと思います。また、世界中に同じような課題に取り組む研究者たちのいることを実感できたでしょうか。さあ、ここからが新たな始まりです。

 医療界では、聖路加国際大学出身というだけである種の信頼と評価を受けることがあります。「聖路加に学ぶ」ということがもたらしたものは何でしょうか。本日は、卒業後50年の先輩の皆様をお迎えしていますが、聖路加の同窓生が活き活きと語る大学時代のエピソードは何でしょうか。
 
 名物教員のセリフや仕草でしょうか。いいえ、きっと違います。
 
 それは、どんなときにも<真正面から看護とは何かを追究する情熱、パッション>でしょう。

 言い方を変えれば、【看護を学ぶことへのぶれない精神】。どこに問題があるのか、関連している背景要因は、システムの課題は何か、人々が心安らかに過ごすには、どうしたら良いのか、どこに手を当てれば、痛みが取れるのか。成功事例は、どこにあるのか。そんなことを常に追究する姿勢です。
 
 

 どうか、これだけは、忘れないでください。 生涯をかけて、より高き所を目指す精神。

 きっとその精神が、皆さんに宿っていることを。

 皆さんがこれから歩む道には、難問が山積みでしょう。それらの問題に直面する勇気を持ってください。

 あなた方は独りではありません。周りを見て、ここで出会った仲間や患者さんと培った経験や感動が、きっとあなたを助けてくれることでしょう。
 
 これをもちましてお祝いの言葉とします。