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入学式・感謝礼拝 歓迎の挨拶(2019年4月2日)

看護学研究科長 堀内 成子

大学院看護学研究科(修士課程・博士後期課程)にご入学の皆さん、入学おめでとうございます。(ご着席ください)

皆さんは、すでに看護の基礎知識をもち、あるいは臨床や教育経験ののちに、さらなる高みを目ざしての勉学の機会を得ました。この挑戦を心より歓迎いたします。


「近代看護教育の生みの親」と呼ばれるナイティンゲールは、英国政府によって派遣された38名の看護師団のリーダーとしてクリミヤ戦争の地、野戦病院で、昼夜を問わず骨身を削って看護し、特に病院内の衛生状態を改善し兵士の手当てに貢献したことで有名です。着任早々、彼女が行ったことは不衛生なトイレや手洗い場の清掃でした。
「天使の白衣」と表現されることの多い彼女ですが、実は、それだけではありません。帰国後に、彼女は、自分の持つ数学や統計に関する知識を用いて、イギリス軍の戦死者や傷病者に関するデーターを分析しました。
そして彼らの多くが、戦闘で受けた傷そのものではなく、傷を負った後の治療や病院の衛生状態が十分でないことが原因で死亡したことを突き止めたのでした。
そして優れた管理者でもあった彼女は、この実態を改善するために政府に働きかける際に、統計になじみの薄い国会議員や役人にもわかるようにと、当時としては珍しかったグラフを用いて、視覚に問いかけるプレゼンテーションをしました。現場の状況を知らずに、物資の補給を滞らせる政府や軍、病院管理者を激しく批判したのでした。

看護は、ただ優しいだけでは、そのひとの苦悩や痛みに寄り添うことはできません。多様な学問分野の知恵を借りて、問題解決への道を探ることが必要です。

来年2020年は、ナイティンゲール生誕200年を迎え、本学も看護教育100年の節目を迎えます。この時期に看護を学ぶ者として、時代を超えて変わらぬものを何かを探してみませんか。


研究科長として、皆さんにお伝えしたいことがあります。

聖路加で学ぶということそれは、「学術を追求する者としての習慣を身につける」ということ。
課題を見つけたら、その関連情報を検索する方法、分析する方法、論理的に書く、倫理的に考え行動する、剽窃・盗用をしない、技術を身につけるトレーニングなど。
今、考えうる最善最新の結果を得るために試行錯誤を何度も繰り返す。一度回答を出しても、自分でそれを疑ってみる。敢えて、他人の批判を受ける、それに反論する勇気を持つ、再分析してみる。この繰り返しです。

美術館に飾られている美しい油絵は、その下に何層もの下絵が描かれ、修正に修正を繰り返えした跡があります。優れた専門職の技の修練には、こういった隠れたプロセスがあります。人には見えないけれど、その人自身は、知っています。見えない部分の修練や研磨が、いつか輝きを見せる時が来ると信じています。

看護をはじめ専門職のすべてが、生涯、学び続けます。

あなたの看護が、あなたの研究が、日野原重明先生の言葉である「知と感性と愛のアート」であると言える日が来るように、この学び舎での仲間や教員との時間が有意義な試行錯誤の時間でありますように願っています。

これを持ちまして、歓迎の言葉といたします。