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聖路加国際大学看護学部入学式

学長挨拶 福井 次矢
2017年4月4日

ご入学、おめでとうございます。東京では桜がまさに満開の本日、聖路加国際大学看護学部に入学される130名の皆さんに心からお祝い申し上げますとともに、ご父兄の皆様には本学への入学をご支援いただき深く御礼申し上げます。また、新たな学年に進まれる在校生の皆さんにも、順調に看護学を修めつつあることをお喜び申し上げます。
ご存知のように、わが国は、未曾有の少子高齢化という社会の変遷の真っただ中にあり、看護をはじめとする医療分野の人材は、その必要性が高まるばかりであります。
聖路加国際大学は1920年、初代病院長のTeusler先生が聖路加国際病院内に附属高等看護婦学校を設置し、看護師の養成を開始しました。それ以来、看護の実践面だけでなく、研究、教育、行政、国際協力など多方面で活躍する多くの卒業生を輩出してまいりました。当大学がそのような業績を残せた最大の理由は、100年近く前の創設時、当時のわが国の医療界では考えられなかったような高いレベルの能力を身につけた看護師を養成するという、Teusler先生が定めた高邁な理念・目標にあると思われます。創設から約20年間、優れた米国人教員による高度な看護教育が行われ、それが当大学の看護教育の基準・規範となりました。

そのような基準・規範に則った教育を実践した米国人教員が滞在できなくなった第二次世界大戦前後以降、現在までの優に半世紀を超える期間、高いレベルの看護教育を追求する基準・規範は維持され、看護教育の改革が続けられてまいりました。専門学校から短大へ、短大から4年制大学へ、大学院の修士および博士課程の設置、さらには学士の資格を有する方々への学部2年次編入コースなど、先陣を切って改革してまいりました。数年前からは、これまで以上に大学院を充実させるべく取り組んでまいりましたが、本年は、学士の資格を有する方々を対象に学部3年次編入コース-つまり、2年間で看護師の国家試験受験資格を付与する-という、わが国ではかなり大胆ともいえる看護師養成コースを開設いたしました。
看護や医療の基盤となる学問は、いつの時代でも、とりわけ最近の数十年間は、予想を超える速さで発展しつつあり、学べば学ぶほどますます底が見えない、したがって興味が掻き立てられる、広さと深さを備えています。実践に繋がる学問を修めるということは、皆さんが今まで知らなかったことを知り、できなかったことができるようになることを意味します。そもそも、学習-学ぶこと-とは、知識と技術、そして態度・習慣という3つの側面で「価値ある変化」が起こることを意味しています。
私は、以前、ある本を読んでいて、自分の子供を育てる時期に知っていればそうしたのに、と後悔の念を抱いたことがあります。確かノーベル化学賞受賞者によるものだったと思いますが、そのノーベル賞受賞者は、子供の頃、母親から勉強するようにと言われたことは一度もなかったものの、学校から家に帰ってくると、母親から毎日必ず「今日は学校でどのような質問をしたの?」と尋ねられたそうです。常に疑問を持ち続ける、そのような態度・習慣こそ、学問の発展、科学者としての幸福な人生に繋がったと考えられるエピソードで、学ぶこと、学問を発展させることのエッセンスが凝縮されているように思います。私自身、子供に「今日は、学校で先生にどのような質問をしたの?」と毎日尋ねればよかったのに、と悔やんだことでした。入学される皆さんには、毎日教員に何らかの質問をして、学び、学問の発展に尽くされますよう祈念いたします。

入学される皆さんは、「病気や悩み、困難に苦しんでいる人々に手を差し伸べたい」という優しい気持ちが宿っているからこそ、看護学を修めようと決心されたことと思います。そのように内在する「他者への優しさ」を、本学の伝統あるキリスト教の愛の精神に則った教育で育み、看護学の深い知識と技術、態度・習慣を身に付けていただきたいと願っています。自分が変わること-良い方向に変わること-を喜びとし、楽しみながら、聖路加国際大学での日々を過ごされるよう期待して止みません。
本学での学びの日々が、真に充実していて、素晴らしい友人や指導者と出会い、振り返れば人生最高の日々であったと思ってもらえる、そのような貴重な人生の一コマとなりますことを祈念いたします。そして、そのようになりますよう、聖路加国際大学の教職員一同、最大限の努力を惜しみません。どうぞ、健康に留意され、実りある勉学の日々を過ごしてください。また、ご父兄の皆様には、お嬢様、ご子息が専門職業人に育ち変わって行く様子を見守っていただければと存じます。
以上をもって私からの挨拶とさせていただきます。