聖路加国際大学看護学部看護学科2022
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[キャリアサポート/卒業生の進路]地域を支える未来の“看護・医療のリーダー”にOn becoming a healthcare leader 大学卒業後、6年間金融機関に勤めました。しかし、大きなプロジェクトを達成しても充実感を得られず、本当にやりたいことは何かと悩むようになったのです。そんな折、2001年に同時多発テロが発生。消防士や医療従事者が被災者に尽くし、犠牲になる姿を見て、彼らの仕事に興味を持ちました。そして看護の仕事は、思いやりや優しさだけでなく、科学的根拠に基づいて提供されると知り、挑戦しようと思ったのです。 聖路加での病院勤務は充実していました。しかし、自分の経験を広く社会に生かす方法を模索し、いろいろな人に相談する中で松谷美和子先生が、厚生労働省の看護技官の道を示してくださいました。厚生労働省医政局看護課、大臣官房厚生科学課などを経て、2020年4月からWHO西太平洋地域事務局に出向し、現在は新型コロナ感染対策で都市封鎖が続くマニラでナーシングオフィサーなどの任務を担っています。 WHOで働くようになった今、入学して間もない日に故・小澤道子先生と交わした会話を思い出します。課題の相談の際に、帰国子女であることや金融機関での経験、看護師を目指したきっかけなどをお話ししました。すると先生が不意に「芝田さんは将来、WHOで働く気がするわ」と、おっしゃるのです。当時、日本で看護師になることしか頭になかった私は、唐突な言葉に驚き、なぜそう思われたのか伺えませんでした。折に触れてこの出来事を思い返し「先生は喜んでくださっているかな、もっと頑張らないと」と励みにしています。 看護師は臨床のイメージが強いと思いますが、活躍の場は多岐にわたります。急性期病院から離島の看護師、産業看護師、厚生労働省や地方自治体の看護系技官。研究職や後進を育てる仕事にとどまらず、製薬会社やメーカーにも活躍の場があります。グローバルヘルスに目を向ければ、プロジェクトを通じて海外で活動する看護師、政策立案にかかわる任務まで――。 私もそうでしたが、目指す看護師像になじめない場合は、他に活躍の場があるかもしれません。あきらめる前に、看護師の幅広いフィールドに目を向けてみてください。そこにあなたの輝ける場がきっとあるはずです。聖路加の先生方に示していただいた道―。日本の看護の知見を世界に発信することができたら。OG Special Interview看護師、保健師。上智大学法学部卒、聖路加国際大学卒、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院修了。金融機関勤務、聖路加国際病院、厚生労働省医政局看護課、医療安全推進室、大臣官房厚生科学課などをへて、2020年4月にWHO西太平洋地域事務局に出向。2006年看護学部卒業世界保健機関西太平洋地域事務局(WPRO)加盟国支援課 Nursing Ofcer / Technical Ofcer 芝田 おぐさ(旧姓 石山)SHIBATA Ogusa29St. Luke’s International University

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