看護学部collage of nursing

2017年度看護学部卒業式式辞「卒業生へのことば」

学部長 松谷 美和子
2018年3月12日

街には暖かな春の光があふれ、皆様の旅立ちを祝福しています。
本日ここに卒業を迎えられた皆様、おめでとうございます
皆様は、記念すべき本大学の50期生です。
ご家族の皆様はじめ、支えてこられた皆様にも感謝とともに、お慶び申し上げます。また、大学1期生の皆様にご参列頂き、共に祝っていただき感謝を申し上げます。
さて、卒業生の皆さまへ看護学部を代表して一言申し上げます。これまで、皆さんは、看護専門職としての基盤を積み上げてこられました。まずは、臨床で看護師をと考えている方が大勢いらっしゃると思います。皆さんがめざすエキスパートといわれる看護師たちがどのようなことに意義を見出してきたか、海外の聞き取り調査の分析結果から3つお伝えします。

一つは、重要なことと重要でないこととを見分ける力、Sense of Salienceです。セイリエンスは、飛び出ているもの、顕著なことを意味することばです。このセンス・オブ・セイリエンスは、臨床においては、重要なことと重要でないこととを見分ける力と訳されています。例えば所属する病棟で、よく出会う症例の観察経験などからくるものです。看護師のなかにパターン認識ができ、患者さんの異変に気がつく、「あれっ何かおかしい」という、気づく力です。それは、その患者さんをよーく知ることからくる気づきでもあります。「あれっ、今日はいつもと違う」。そういった、何か突出したこととして捉える力です。この力がエキスパートナースのなかに培われ、患者さんが救われたり、適切な対応が即時に為されることになります。

二つ目は、その患者さんを知ること、Knowing THE Patient. THEがついていますので、今担当しているこの患者さんです。この患者さんは治療のことやこれからの生活をどのように考えているのか、何を大切にしたいのか、患者さんが気になっていることに心を寄せること、患者さんに関心を示すことです。この関心の矢印を自分の中にしっかりもつことがケアリングの基本ですが、おせっかいにならないためには、答えは自分の内にはないということを自覚しなければなりません。自分にあるのは、推測や憶測ですから、観察力や聴く力が重要です。

さて、三つ目は最も難しいことなのですが、善を為すこと、Notions of the Goodです。専門職は自己の利益のためではなく、専門職の力を求めてきた患者の利益のために仕事をします。患者さんは私たちが免許をもった専門職だから信頼して薬の入った注射を受け入れ、麻酔のもとでの手術を容認するのです。ですから、信頼されて、患者さんの大切にしているすべてに対して善を為すことが求められるのですが、これは大変難しいことです。
難しい理由の一つは、私たち看護職も、看護の仕事をなりわいとしているからです。自らも生きていくために、身分の安定や収入を必要としますし、所属する世界に認められながら生きる存在だからです。しかし、善は追及されなければなりません。

Sense of Salience, 重要なことを見分ける力
Knowing THE patient, その患者さんを知ること
Notions of the Good, 善を為すこと
エキスパートが行っているこれら3つのことを皆様と共有して、わたくしからの贈る言葉といたします。
神様の豊かなお恵みとお導きが皆様とともにありますように。