WHOCCWHO Collaborating Center for Nursing Development in Primary Health Care

WHO News

看護 2022年5月号 第74巻 第6号

在日外国人向けオンラインCOVID-19ワクチン勉強会の実施報告

在日外国人に向けたCOVID-19の情報提供

新型コロナウイルス感染症(以下:COVID-19)の世界的流行は、多数の死者を出したばかりでなく、人々の生活に大きな影響をもたらした。新しい感染症であるCOVID-19の脅威から身を守るためには、病気、検査方法、治療、感染状況および医療サービスについて常に最新の情報を得る必要がある。
WHOは、COVID-19パンデミックの脅威から難民や移民を守るよう政策の推進を呼びかけている1)。しかしながら、パンデミック下において迅速にCOVID-19に関する正しい情報を多言語で提供することは容易ではない。わが国においても、COVID-19流行初期における在日外国人向けの情報は非常に限られていた。2020年にCOVID-19に関して優先度に応じて受診するシステムを政府が打ち出した際には、多くの外国人が受診方法を理解できず、不安に感じていた。
筆者らは、在日外国人コミュニティより、COVID-19に関する情報提供を求められたことから、2020年に在日外国人向け「COVID-19への対処方法」、2021年には「COVID-19ワクチン」に関する勉強会をオンラインで実施した。本稿では、2021年5月に実施された「COVID-19ワクチン」の勉強会について報告する。

勉強会の内容と参加者からの質問・要望

2021年5月当時、日本では医療従事者や高齢者に対するワクチン接種が始まっていたが、一般市民に対する接種は開始されていなかった。多くの在日外国人は、ワクチンに関してある程度の情報は独自に得ていたものの、詳細について医療従事者に質問する機会や医療サービスの受け方に関する情報を必要としていた。
そこでオンライン勉強会では、在日外国人がワクチン接種において抱えている不安や疑問を事前に取りまとめ、それらについてワクチン接種を実施している看護師が講義を行い、その後にCOVID-19患者の治療を実施している医師が参加者からの質問に回答するという形式で行うこととした。なお、これらのプログラムは英語で実施され、フィリピン人を中心に日本各地から外国人60人が参加した。
講義内容は、ワクチンの有効性、接種券を用いたワクチン接種の受け方、問診票の書き方、実際の接種の様子、予想される副反応と対処法などであった。また、参加者からは、アレルギーや持病を持つ場合のワクチン接種の安全性や「COVID-19感染歴があるがワクチン接種は必要か」「インフルエンザワクチンと同時に接種してよいか」などの質問が寄せられた。
さらにCOVID-19ワクチン接種を希望する参加者からは、接種会場における多言語対応や多言語の問診票配置などの要望があった。このうち、多言語問診票については、現在、厚生労働省ホームページからのダウンロードが可能である2)。
(文責:長松 康子)

参考文献

  1. https://www.who.int/activities/promoting-the-health-of-refugees-and-migrants-during-covid-19-pandemic
  2. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_tagengo.html

看護 2022年7月号 第74巻 第9号

第4回WHO協力センター国内連携会議が開催

2022年4月26日(火)、第4回WHO協力センター国内連携会議が国立国際医療研究センター国際医療協力局にて開催された(図表1)。WHO協力センター(以下:WCC)とは、WHOのプログラムの支援活動を行うために事務局長によって指定された機関であり、現在80以上の加盟国で800以上の研究施設や大学等が指定されている1)。
今回の連携会議にはWHO西太平洋地域事務局(WPRO)の葛西健事務局長はじめ、日本WHO協会、WHO健康開発総合研究センター(WHO神戸センター)、そして日本国内の37のWCCのうち35施設からの参加があり、参加者数は80人を超えた。2017年以降、WCC連携会議は年に1回開催されているが、COVID-19の影響により中止が続いていたため、今回は3年ぶり、そして初めてのオンライン開催となった。
WPROの今後の方向性と日本国内のWCCへの期待
葛西事務局長は西太平洋地域における活動の指針である“For the future”2)を踏まえながら、急速な変化と大きなダイバーシティが特徴である西太平洋地域において未来を見すえた対策の重要性を強調した。また、COVID-19のパンデミックにより、健康と人々の生活がいかに結び付いているかをあらためて強く認識した今、西太平洋地域19億人の健康を向上させるために日本の経験とエビデンスを役立たせることを、日本国内のWCCへの期待として述べた。

COVID-19パンデミックにおける活動紹介

会議では6施設からの活動報告があり、コロナ禍における厳しい状況の中で活動を続けてきたWCCの事例を共有した。発表内容は、臨床分野、口腔健康、自殺対策、支援者のメンタルヘルス、リハビリテーション、水と衛生と多岐にわたり、人々の健康に関連する要素の多様さをあらためて認識する場となった。
このほかにも12施設から11のポスター発表がウェブ上で行われていることが報告された。聖路加国際大学は、在日外国人向けオンラインCOVID-19ワクチン勉強会に関するポスターを発表した(ポスターセッションの内容は国立国際医療研究センターのウェブサイトに掲載されている)★。

今後の連携・協力に向けて

WCCの役割として、WHOと一体となって活動に取り組んでいくことが求められている。それによってWCCの活動の価値もより高まる。今回、各WCCが素晴らしい活動を行い、多くの成果を上げていることが報告されたが、それが国内での情報共有に留まってしまうのはもったいないというコメントが複数の参加者から述べられた。
“For the future”という共通の指針に基づいて、WHOとWCCの連携、国内のWCC同士の連携、そして海外のWCCとの連携といった縦横に広がる連携が、世界の健康への貢献へとつながっていく。
(文責:大田えりか、二田水彩)

参考文献

  1. WHO:Collaborating centres.(https://www.who.int/about/collaboration/collaborating-centres)[2022.5.19確認]
  2. WHO:For the future: towards the healthiest and safest Region, 2020.(https://www.who.int/publications/i/item/for-the-future-towards-the-healthiest-and-safest-region)[2022.5.19確認]

★ https://kyokuhp.ncgm.go.jp/etc/network/who.html