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2019年度学位記授与 看護学部長 祝辞(2020年3月10日)

看護学部長 吉田 俊子

「スタートラインに立つ」

 看護学部を卒業される116名の皆さん、ご卒業おめでとうございます。また、本日まで学生を物心両面で支えてこられた、ご家族の皆さまに心よりお喜びを申し上げます。

 聖路加での学びはいかがだったでしょうか。様々な出来事の思い出とともに、大きな糧を得た実感もあると思います。この糧は、皆さん自身のたゆまぬ努力はもちろん、ご家族の愛情、地域の皆様、保健・医療・福祉に携わる皆様のご支援による贈り物であると思います。

 聖路加国際大学は、本年、看護教育100周年を迎えました。皆さんはその節目の100年目の卒業生です。この記念すべき年の卒業式を、感染症の拡大を防ぐために挙行できなかったことは非常に残念であり、皆さんやご家族の気持ちを思うと心が痛みます。

 健康は、生活や経済、文化、時代などの様々な要因と関係しています。今回の感染症は、健康問題が人の生活、人生、そして社会全体の脅威であることを私たちに改めて突き付けたといえます。看護は、人々の健康に働きかけ、生活を支え、寄り添い、人々や地域、社会に変革をもたらす力を持っています。看護は、何を行うべきか、何ができるのか、どのようにできるのかを常に考え、何よりも実践すること、その重要性を皆さんも深く認識されたのではと思います。

 聖路加国際大学を卒業される皆さんには、時代や社会を見据えて看護の可能性を引き出し、実践につなげる挑戦をしていってほしいと願っています。皆さんは、聖路加の学びを通して、「知と感性と愛のアート」である看護、キリスト教精神に基づく隣人愛、常に相手を思う心を深く学ばれたと思います。聖路加での学びは、皆さんのこれからの挑戦の礎です。卒業時の今は、その礎がどのように自分の中にあるのか、不確かに感じるかもしれません。しかし、歩みを進めていくと、自分の中にある礎を感じる時が必ず来ると思います。

 大学の卒業は、あくまで看護職としてのスタートラインにたったにすぎません。これからの歩みの前には、様々な課題が起こってくるでしょう。しかし、自分の目の前にくる山には必然があり、その課程に必ず成長の意味があります。

 一所懸命がんばってもできなかったことは、ALL or Nothingではなく、そこに成長の糧があります。がんばった自分を認め、次の課題を見つける気持ちで、課題に果敢に歩みを進めていってほしいと思います。学び続けることは、人としての根幹にあるものです。学び続ける先に、きっと将来、もっと深めたい、どうなっているのだろうという思いが湧いてくると思います。その思いを大切に、歩んでほしいと思います。

 そして、皆さんには大学で得た大切な宝物があります。大学で供に学んだ仲間は、かけがえのない存在です。楽しさや困難も分かち合って、共に人生を豊かにしていく仲間です。皆さん自身が人生を豊かにすることは、必ずよいケアにつながっていきます。

 皆さんは、今、まさに、生涯を通じて学び続ける看護職のスタートラインにしっかり立たれました。聖路加で得た多くの学びと宝物を持って、皆さんが看護職としての豊かな人生を歩まれていくことを、心より祈念しております。