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2019年度学位記授与 看護学研究科長 祝辞(2020年3月10日)

看護学研究科長 堀内 成子

「試されるとき」

 本年度、大学院の課程を終えられる修士課程47名、博士後期課程18名の皆さん、修了おめでとうございます。皆さんを支え、この日を心待ちにしていらしたご家族・ご友人の皆さんに心からお祝い申し上げます。ここまでの学びにご支援いただきました患者様、多くの保健・医療機関の皆さん、同窓会をはじめ、奨学金や寄付等のご支援をくださいました皆さんに心より御礼申し上げます。

 大学院を修了される皆さんは、実践や教育経験を通じて壁にぶつかり、時に息苦しさを覚えて、あるいはさらなる資格や能力を得るために大学院へ進学なさいました。大学院時代の学びを通して、視野の広がりや、物事を深く洞察する力を獲得し、医療現場にある問題の背景を知り、変革の手がかりを見つけることができたでしょうか。生涯をかけて探求したい研究テーマを見つけ、あるいは自分の選んだ看護分野で実践する力を身につけたことと思います。さあ、ここからが新たな始まりです。

 この度、新型コロナウィルス感染症の拡大を防ぐための手立てが講じられ、世界中の人々がこの病の前にひれ伏してしまう災難を経験しています。感染地区の人を避ける、初めは中国武漢の人々、そして今ではアジアに住むというだけで感染リスクをもつ人とみなされ忌避されます。不要不急の外出自粛や人々の集合禁止という策は、人々のあたりまえの日常を奪い、経済や外交に多大な影響を与え、喜びや豊かさを阻害しています。そんな中にも、キラリと光る活動をしている人を見つけます。

 布マスクの型紙と作り方をWebでシェアする人、免疫力の講義を無料配信する人、休講によって行き場を失ったこどもに安全な居場所を提供する人、そして黙々と病む人の治療やケアに携わる人々等。またこの災難は、人々に手洗いや咳エチケットという予防行動を正しく定着させた点を副次的効果と考える人もいます。健康問題は、理不尽・無差別で、突然に降りかかります。どのように立ち向かうか、和睦するか。まさに人間が試される時です。

 この本館図書館の入り口に記してある聖書の言葉は、私たちに教えてくれます。

あなたがたの愛が 深い知識において
鋭い感覚において いよいよ増し加わり
ピリピ人への手紙 第1章 九節

 建学の精神であるキリスト教を基盤とした学びの経験は、修了生の皆さんの価値観や考え、行動様式に影響を与えていると思います。巣立つ大学院生の皆さんにとって、これから歩む道には難題が山積していることでしょう。聖路加を学び舎として過ごした人は、事を成し遂げる覚悟と方法を身につけていると信じています。どうか謙虚な姿勢で自分の賜物を誇りに、未来へと進んでください。

 これをもちましてお祝いの言葉といたします。