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2020年度学位記授与 看護学研究科長 祝辞(2021年3月10日)

看護学研究科長 麻原 きよみ

修了生の皆さん、ご修了おめでとうございます。

皆さんは大学院のコースワークを終え、修士論文、博士論文を完成させ論文審査・最終試験も終え、今、学位を手にされています。すべての学生が、皆さんのように学位を手にするわけではありません。私は「絶対に論文を出すんだ」というもう一歩踏ん張れるかが論文を出せるかどうかの境目だと感じています。そして皆さんはそれをやり切った。それは誇るべきことであると思います。

今年度は、COVID-19の流行で特別な年でした。この未知のウイルスに対して人類、そして保健医療者は立ち向かっています。治療法、予防策についての知見は世界を駆け巡り、流行から1年を待たずしてワクチンの開発・接種がされています。今から170年ほど前、英国の医師であるジョン・スノウ(John Snow)は、当時コレラが大流行しているロンドンで、コレラ菌が見つかる30年も前に、死亡者が発生した家ごとに死亡者数を地図上にプロットすることで汚染されている井戸を特定しました。また、水源の水質とコレラ患者の関係を統計を用いて示し、特定の水道会社が下水で汚染された区域から取水して家庭に供給していたことがコレラ発生増加の原因であることをつきとめました。これは疫学研究であり、公衆衛生上きわめて重大な出来事とされています。

このことは、たとえ原因(病原菌)がわからなくとも適切な方法を用いて検証することで対策を立てることができることを示しています。皆さんも今後、研究していく上で、また臨床で実践する上で疑問に思ったことについて、原因がわからないからとあきらめるのではなく、科学的方法で検証すること、また実践方法を改善することで対策を講じることができる研究者・実践者になってほしいと思います。

人々や看護実践のために、誠実に研究や実践に向かう姿勢が皆さんの生き方になると思います。皆さんの未来が、皆さんにとって納得できる輝かしいものでありますように心よりお祈り申し上げます。
本日は、誠におめでとうございます。