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2020年度学位記授与 看護学研究科修士課程修了生代表 答礼のことば(2021年3月10日)

看護学研究科修士課程修了生 岩室 理恵

世界中で新型コロナウィルスが猛威を振るうなかではありますが、木々は芽吹き桜の蕾は色づきはじめ、春の訪れが感じられるこの日を迎えられたこと、心から嬉しく思います。本日は、堀内学長ならびに諸先生方のご臨席を賜り、こうして学位記授与式を催していただきましたこと、修了生を代表して心より御礼申し上げます。

この2年間、3年間、私たちは多くのことを学ぶ過程で、看護を追求する難しさに何度も直面しました。
私の研究では、脳血管障害をもつ人と生活を共にする介護者の心理過程を明らかにしたいと考え、家族の方々にお話を伺いました。その中で、第三者の目には見えない家族の複雑で苦しい思いを知り、時に言葉として表現することができず、涙を流すことや表情から伝わる苦しみを感じ取りました。ひとりひとり異なるこうした家族の思いを理解し、それを体系化して心理的な支援に結びつける研究の過程は、苦労の連続でした。自らの思考の偏りや狭さに気付き、何度も壁にぶつかりました。そのような時には、国内外のさまざまな分野の先生方や研究者が私を導いてくれました。そして、広い視野で個を見つめ、普遍性をもって個に還元していくことの重要性を学ぶことができました。

医療を取り巻く社会に目を向けると、この1年、新型コロナウィルス感染症により世界は大きく変化しました。日本においても多くの方が命を落とし、全国民が不安の中での生活を強いられています。そして、世界中の多くの医療従事者が患者を救うべく奮闘しています。一方で、科学の力が試された1年でもありました。ウィルスが発見され、症例が報告され、多くの優秀な研究者らによって類を見ない速さでワクチン開発と実施にまで至りました。私は、科学の力と研究の重要性を改めて思い知らされ、その責任の重さを強く感じました。研究者としての第一歩を歩み始めた今、身の引き締まる思いです。

私たちは、聖路加国際大学看護教育100周年という記念すべき年の修了生として、その歴史に恥じぬよう、「広い視野で個に寄り添う」研究者、教育者、高度実践看護師をめざして精進していきます。そして、この大学院で培った眼と心で、あらゆる角度から看護を見つめ、これからの看護学の発展に寄与できるよう努めて参ります。
研究者や教育者としてのあり方や、高度実践看護師としての役割をご指導くださいました先生方をはじめ、職員の皆様、共に学び切磋琢磨した修士生の皆様、大学院生活を理解し支えてくださった家族に感謝を申し上げ、聖路加国際大学の益々の発展を願い、答礼の挨拶とさせていただきます。