2022年度 入学式祝辞 学長(2022年4月2日)
学長 堀内 成子


桜咲く美しい季節に、新しい世界へようこそ、ご入学おめでとうございます。
聖路加国際大学に入学なさいました学部生の皆様を心より歓迎いたします。本学は1901年米国の宣教医師ルドルフ・ボーリング・トイスラー博士により創設されました聖路加国際病院に端を発します。その後、日本の医療水準を向上させることと同時に看護の質を高める必要性から、1920年聖路加国際病院付属高等看護学校が誕生しました。この時申請応募書類は1100通届き、入学資格を持つ80人が試験に進み25名に入学を許可したとあります。当時、高等女学校への進学率は1.3%であったと言いますから、いかにこの挑戦が桁違いであったかがわかります。この先陣を切って進む文化は、本学の校風となって、100年を過ぎた今でも受け継がれています。
2022年4月新型コロナウィルス感染症の終息が見えそうで見えない中で、学究生活に戸惑いがあると思います。また、ロシアによるウクライナ侵攻が2月に勃発し、今、この時も爆撃の中にあって命の危険に怯えながら暮らしている人々のことを考えると心が痛みます。この戦争災害が一日でも早く終わることを祈ります。そして皆さんには、紛争の背景を探求し、国際的な思考力を身につけ、世界平和に貢献できる人材になってほしいと願います。この危機が人間同士の新たな絆や、新たな学びを生み出して、次の時代へ続く成果につながると確認します。
みなさんは、それぞれの思いでこの場所に座っていらっしゃると思います。
憧れの大学、第一志望だった方もいらっしゃれば、第二希望、あるいは第三希望で本意ではないけれどここに座っている方もあるでしょう。人生における選択は、本人の努力だけでなく、さまざまな偶然と理由に導かれています。皆さんがこのキリスト教を建学の精神にもつ場所で学ぶことが神様の計画であるのなら、この場所でどのように過ごすのか考えてみましょう。個々に与えられたギフト・賜物に気づき、大いなる計画への道を探すことができますように願います。
本学の図書館入り口に次のように記されています
「私はこう祈る
あなたがたの愛が深い知識において、
鋭い感覚において いよいよ増し加わり
ピリピ人への手紙 第1章 9節」。
知る力と見抜く力とを身につけて、あなた方の愛がますます豊かになり、真に大切なことを見分けられますように願います。