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本学公衆衛生大学院修了生の苫米地則子さんが第48回フローレンス・ナイチンゲール記章を受章されました

お知らせ

聖路加国際大学公衆衛生大学院修了生(2020年度専門職学位課程修了・第2期生)であり日本赤十字社医療センター 看護師長(国際医療救援部)である苫米地則子(とまべち・のりこ)さんが、第48回フローレンス・ナイチンゲール記章を受章されました。
フローレンス・ナイチンゲール記章は2年に一度、顕著な功績のあった看護師等に贈られる看護界における世界最高の栄誉で、ナイチンゲールの生誕日である5月12日、赤十字国際委員会(ICRC)ナイチンゲール記章選考委員会(スイス・ジュネーブ)から受章者が発表されました。
本学卒業生としては、湯槇ます氏(1977年 第26回受章)、高橋シュン氏(1997年 第36回受章)、永井敏枝氏(2003年 第39回受章)、秋山正子氏(2019年 第47回受章)に次いで5人目の受章となります。
苫米地さんから本学に向けてメッセージをいただきましたのでご紹介します。


苫米地さんのメッセージ

 看護職として、日本赤十字社医療センターでの病院勤務、そして国際活動に携わってまいりました。この度の受賞については、身に余る光栄に存じます。
 これまでの活動を振り返ると、自分としては特別なことはなく、「苦しんでいる人を救う」という赤十字の基本を日々大切にし、国内でも国外でも活動を続け、そのような現場での出会いは今の自分の成長につながっていると感謝しています。
 聖路加国際大学 公衆衛生大学院での学びは、まさに今世界が直面している公衆衛生上の危機への対応の根幹となりました。新しいウイルス感染症の世界的な動向をとらえ、人々の行動変容をいかに求めていくか、またその実現のために必要な政策、そしてワクチンの分配、実施とその理解をさらに深めることができました。大変貴重な3年間の学びでした。
 そして、今、再びバングラデシュの地で国際活動に携わっています。国内も難しい状況ではありますが「差別なく、最も助けが必要な人を優先する」という「公平」の赤十字の原則のもと、人々が健康を獲得し、この危機を乗り越えられるよう力になり、精進したいと思います。改めて多くの皆様のご指導に感謝いたします。

2015年 ネパール地震 
一部破損した既存のプライマリヘルスケアセンターを支援する活動。センター前に設置した仮設の受付/薬局で患者の対応をしている。©日本赤十字社

プロフィール

苫米地 則子 (とまべち のりこ)
日本赤十字社医療センター看護師長(看護部/国際医療救援部/バングラデシュ首席代表)

昭和60年3月 日本赤十字中央女子短期大学 卒業
昭和60年4月 日本赤十字社医療センター 入社
(平成30 年4月~令和3年3月 聖路加国際大学 公衆衛生大学院 公衆衛生学修士)

主な功績

2020 年2月、日本国内だけでなく世界中の注目が集まった「ダイヤモンド・プリンセス号」の船内における新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対応救護班の総括調整員の任を担った。1997 年にスーダン紛争で国際救援活動に携わって以来、これまでに計 16 回の国際派遣を経験している。2017年に世界最大ともいわれるバングラデシュ南部の避難民キャンプに緊急医療支援の第一班として現地に赴いた際は、医師、看護師、助産師等、様々な専門家で構成された ERU※のヘッドナースを、2018年の2度目の派遣ではチームリーダーを務め、医療活動はもとより、心理社会的支援(こころのケア)など、日本赤十字社による急性期医療を指揮した。 また、避難民が自分達で健康に過ごせるよう、公衆衛生への理解と疾病予防への参画を促すことで、一人ひとりが行動変容を起こすきっかけを作り、避難民キャンプで人の命と尊厳の確保、そして社会的な連携構築に繋げた。
※Emergency Response Unit=緊急事態、大規模災害発生に備え、各国赤十字社が緊急出動可能な訓練された専門家チームおよび資機材を整備しておき、1ヶ月間 他からの支援を得ることなく自己完結型のチームとして活動を行う救援システム

本学で保管する湯槇ます氏受章の際の記章

本学図書館のナイチンゲールのステンドグラス