三浦友理子 准教授
卒業実習チームチャレンジ
臨床での看護のリアルを知る
卒業実習チームチャレンジは、大学での実習ではなかなか学ぶ機会がない看護に挑戦して、臨床での看護のリアルを知り、適応力を高める実習です。例えば、それまでの実習では活動することがないクリティカルケアや救急外来での看護を経験する学生がいます。より重症な患者さんの看護を経験するわけです。また、複数患者さんを受け持ち、看護を提供する経験をします。優先順位を判断しながらすべての患者さんに安全な看護を提供するにはどうしたらよいか考える機会となります。その他、夜間に実習して、夜の患者さんの様子を知ったり、夜間働くことの身体への影響を考えたりします。文字通り、部署のチームの一員のように参加する実習です。
看護学生から新卒看護師への壁を少しでも低く
この実習を選択するメリットは、大学で学んだ看護学を、臨床の看護として患者さんに実践できるように経験を積む機会が得られることです。看護師資格を持たない看護学生と、資格を持った新卒看護師が行える看護には違いがあります。また、臨床で患者さんに安全で安楽な看護を提供するためには、多くの経験が必要です。このような、看護学生から新卒看護師への移行期での壁を少しでも低くしようというのが、この実習のテーマです。この実習は、新卒看護師になってから経験する看護を前倒しして行い、自分の課題を明確にしたり、「一度やったことがある」を増やして自信をつける取り組みをします。
新たな知識の学習や患者さんの観察を通して、看護師らしい看護を
複数患者を受け持つと、優先順位を判断しながら、実践を行う必要があります。優先順位の判断は、基本的な判断基準はあるのですが、多くはその状況での最適を自分で選択する必要があります。初めは、その状況をうまくつかめず、判断に迷います。しかし、何回か経験を重ねたり、患者さんへの理解が深まると、適切に判断を行えるようになります。また、臨床ナースは患者さんの治療に関して深い知識を持って看護していますが、その知識が追いつかず、患者さんの今の状況を把握しきれないことが出てきます。新たな知識の学習や患者さんの観察を通して、看護師らしい看護を行えるようになっていきます。さらに、点滴を準備し投与する、気道内を吸引する等の、患者さんにとって侵襲度の高い看護技術も経験します。初めは、緊張のあまり患者さんへの声掛けを忘れたりしがちですが、経験によりケアを上達させることができます。
この科目の魅力・面白さ
この実習を行った学生から「部署の一員になった気がする」という感想を聞くことがよくあります。ナースと同僚のように看護をして、チームとして一つの目標を達成できたことに関われた満足感なのではないかと思います。
入学前にこの学問を学びたい方へ
現在はなかなか難しいですが、看護師が実際活動するところを見るとよいと思います。海外で活動する人、政府機関で活動する人、助産所で活動する人、訪問看護で地域で暮らすことを支えている人など、看護職は多様な場で活動することができます。はじめからこれというキャリアの方向性を決める必要はありませんが、様々な状況にアンテナを張って、病院だけでない看護にも目を向けてほしいと感じます。