看護学部の紹介

長松康子 准教授

国際看護学

長松康子 准教授

グローバルな視点から看護を学ぶ

グローバルな視点から人々の健康を理解し、看護師として貢献するために必要な基礎知識を学びます。
まずは、世界の人々に起こっている健康問題を知ることから始めます。例えば、2016年の日本人の平均寿命は84歳ですが、アフガニスタンは63歳です。20歳もの差はどうして生じるのでしょうか?
その答えを見つけるためには、アフガニスタンの社会背景、医療レベル、健康問題などを理解する必要がありますので、写真をお見せしながら説明をします。これにより、学生さんは、健康問題を背景には、その国や地域の社会の問題が潜んでいることを理解するようになります。
最後に、困難な状況にありながら健康問題の改善のために奮闘する看護活動を紹介します。

地球規模の健康達成のために

世界では、5歳以下の子どもの21%が栄養不良による発育不良にあり、毎日810人の妊産婦が妊娠・出産で亡くなり、1億人が熱帯病に苦しんでいます。これらの国や地域のほとんどは貧しく、医療サービス未整備で、薬や医療従事者が不足しており、自分たちの健康問題を解決するには、外部からの支援が必要です。
また、グローバル化によって、どこかの国で発生すれば瞬く間に世界中に広がる危険がある感染症や環境問題など、世界が足並みをそろえて解決に取り組まなければならない健康問題が増加しています。
看護職は、人々に最も近い医療専門職として国際医療において素晴らしい活動をしています。私たちには、人間として、看護師として地球規模の健康達成のためにできることがあるのです。

知ることは大きな力になる

紛争の悲惨な状況、男女不平等や風習によって女性や女の子が直面している過酷な状況など、眼をそむけたくなる事実も伝えます。外国の知らないだれかの悲惨な状況を私たちが知っても何もできないと思うかもしれませんが、そうではありません。
外国人の看護師が「看護師として、それは女性の健康に有害です」声を上げることは、当事者にとって大きなインパクトがあるのです。知ることは大きな力です。
開発途上国で様々な困難を乗り越えながら、住民と協力して命を守る看護職の活動に興味を持ってくれる学生さんがたくさんいます。うれしいことに、聖路加国際大学の学生さんは、貧困や健康問題を抱えて苦しんでいる人々に共感する感受性と、困難に立ち向かおうとするバイタリティにあふれています。
この科目を受講後に、スタディツアーに参加したり、国際看護のゼミナールや実習を選択して国際力を磨き、多くの卒業生が開発途上国で活躍しています。

この科目の魅力・面白さ

この科目では、暗記するための知識を与えるのでなく、これまで学生さんが学んできた知識や体験をもとに、自分で考えてもらうようにしています。それぞれの学生さんがもつ知識や経験の豊かさに気付いてほしいからです。
無い知恵を絞って考えるプロセスが、看護師としての対応力を高め、知識を定着させます。教員自身の経験もたくさん紹介します。学生時代や看護師時代の経験や失敗についての語りは、今の自分や近い未来の自分に置き換えやすいので、断片的な医療や看護の知識がストーリーの中で関連づけて認識されるため、理解が深まるのです。様々な文化、習慣、健康問題、看護についての紹介も好評です。
さらに、医療の整わない地域で、知恵を絞りながら、住民の人たちと一緒に、健康問題の予防や治療に取り組む魅力的な看護師の活動を紹介します。「結核とエイズ」の授業では、タイ人看護師のジンタナ先生に英語で講義をしていただいています。

入学前にこの学問を学びたい方へ

いろんな国の文化や習慣を知るために、海外旅行に行く機会があったら、文化や宗教、地元の人たちの食事や習慣について調べるといいと思います。
また、開発途上国では感染症が重要な健康問題なので、感染症に関する映画を観るのもいいと思います。例えば、QUEENのフレディ・マーキュリーの生涯を描いたボヘミアン・ラブソティを観ると、1970年ころのHIVがいかに恐ろしい病気だったかがわかります。