【12/23~2/29】全国の患者団体を通じた包括的な大規模調査は本邦初の試み 「入院中の子どもの家族の生活と支援に関する実態調査」開始
2019年12月23日
【NPO法人キープ・ママ・スマイリング】(東京都中央区、理事長:光原ゆき)は、看護学研究科の小林京子教授と協働し、2019年12月23日より全国の小児病棟に入院中の子どもに付き添い看護をしている、もしくはしていた家族(母親・父親など)に対して「入院中の子どもの家族の生活と支援に関する実態調査」を開始いたします。
小児病棟で付き添い経験のあるご家族に付き添いでの食生活・睡眠・経済状況の実態や支援の実態を把握する調査は前例がない初の全国調査となります。
調査の実施期間は、2019年12月23日(月)~ 2020年2月29日(土)です。
▼アンケート入口ウェブサイト http://momsmile.jp/
(キープ・ママ・スマイリング公式サイトトップページよりアンケート入口バナーを設置)
■背景
医療の進歩によって子どもの命が助かるようになった半面、継続的な治療が必要となり、また治療によって生じた障害や後遺症のために入退院を繰り返す子どもたちが増えています。子どもが小さいほど、子どもの入院に付き添い、病室に泊り込んで看護せざるを得ない親(特に母親)が存在します。
子どもが入院すると、子どもだけでなく家族にも様々な影響を与えること(病院に寝泊まりをして子どもの療養生活を支える、遠方からの面会を強いられる、きょうだい児の世話や仕事との調整を求められるなど)がこれまでの調査から判明しているものの、付き添い家族(特に負担の大きい母親)から直接、実体験を聞き取る調査はあまり行われてきませんでした。
そこで、NPO法人キープ・ママ・スマイリングでは、2019年4月に独自にウェブ調査【子どもの入院への付き添い体験に関するアンケート】を実施。全国から222名の回答が寄せられました。
<調査サマリー>
実施期間:2019年4月5日〜2019年5月27日
調査方法:ウェブアンケートフォーム(団体ウェブサイト、SNS、メールマガジンにて広報)
調査対象:全国の子どもの入院に付き添い経験のある親
回答者数:222名
男女比:女性97%、男性3%
定量調査項目より抜粋:
体調について
→すべての付き添い経験者の57%が体調を崩した経験ありと回答
1か月以上付き添い経験者の72%が体調を崩した経験ありと回答
睡眠状況について
→すべての付き添い経験者の78%が寝不足だったと回答
食事の栄養状況について
→すべての付き添い経験者の80%が栄養不足だったと回答
経済的不安について
→すべての付き添い経験者の55%が経済的な不安を感じたと回答
1か月以上付き添い経験者の69%が経済的な不安を感じたと回答
1950年代に家族や付き添いが行っていた入院中の子どもの世話について「看護は看護の手で」として、「完全看護」が取り入れられました。今は、この入院中の子どもの世話は「入院基本料」の中の看護料に含まれています。つまり、看護師など医療スタッフのみによる看護を前提としているため、家族などは泊まり込んで看病する必要はないとされています。
しかし、今回のプレ調査結果からは、医療の原則とは異なる現状が明らかになりました。子どもの入院には家族が付き添い、院内に宿泊することも少なからずありました。また、付き添い家族は保険診療の対象にならないため、食事やベッド、シャワーなどの日常生活を営むうえで最低限必要なサポートも受けていません。子どもから離れることが困難な状況の中で食事はおにぎりやカップ麺などで済まし、栄養の偏りや睡眠不足から体調を崩す親も多いのが現状です。生活の質(Quality or Life)が著しく低下し、さらに経済的な困難さも抱えていることもわかりました。
こうした状況は、アンケートの定量調査だけでなくフリーコメントからも読み取れました。以下は「付き添い入院中に辛かったこと」のフリーコメントの1つです。
現在も入院中です(4年間)。子どもが具合の悪いときは、親自身のご飯やシャワーなどにも時間を作れず、それが長期にわたる場合は体調を崩してしまったときもありました。病院から自宅も遠く、付き添いをしている私自身も仕事ができなくなり、収入もない中で、パパの収入がすべてになり、仕事を休んでもらうのも不安がありながら付き添い交代してもらいました。うちはパパしか付き添い交代できる人がいないので、少し体調が悪くても、仕事を休んでもらうわけにもいかず、無理してでも体調を崩さないように試行錯誤しています。親のプライベートはないし、昼夜問わず看護師さんの出入りがあるので落ち着いて眠れず常に寝不足、食事は病院の中にあるコンビニ弁当…。温かい食事、温かいお風呂にゆっくり入れること…普通の生活がどれだけ有り難いか、身にしみています。
NPO法人キープ・ママ・スマイリングが独自に行った調査ではすべての都道府県からの回答を得られておらず、また学術的な分析を加えたデータではありません。そこで、この調査をプレ調査と位置づけ、看護学研究科小児看護学の研究者とともに調査の質問項目を見直し、より現状が把握できるような設計に変更し、このたび標題の共同調査を実施する運びとなりました。
NPO法人キープ・ママ・スマイリングと看護学研究科小児看護学では、今回の実態調査を通し、一人でも多くの付き添い経験者の声を集めることで付き添い者の置かれている環境の実態、ニーズを把握し、このデータをもとに付き添い家族が安心して病児に向き合えるような支援体制が構築されるよう国や社会に対して提言してまいります。
■調査スケジュール
2019年12月23日(月) 定量調査 開始(アンケートサイトオープン)
2020年2月29日(土) 定量調査 締め切り
2020年3〜6月 個別インタビュー調査実施
2020年9月頃 調査結果発表
■NPO法人キープ・ママ・スマイリング 団体概要
商号: 特定非営利活動法人キープ・ママ・スマイリング
代表者: 理事長 光原ゆき
所在地: 〒104-0061 東京都中央区銀座7−5−4毛利ビル
設立: 2014年11月
事業内容: 小児病棟に付き添い入院中の家族に対する食事、食品等の提供事業、病児や
発達がゆっくりな子どもの子育てに関する支援事業、普及啓発活動
URL: http://momsmile.jp
: https://www.facebook.com/keepmomssmiling/
沿革:2014年11月 設立
2015年7月 ドナルド・マクドナルド・ハウスせたがやでミールプログラム (夕食の提供)を開始
2018年1月 聖路加国際病院小児病棟に昼食用のお弁当の提供を開始
2018年8月 発達障がい児・者向け美容室情報サイト「ゆっくりさんのヘアサロンサーチ」をオープン
2019年4月 全国の小児病棟で子どもの入院に付き添う家族へ美味しいご飯(ミール缶)を届ける「ミールdeスマイリング」プロジェクト開始
2019年11月 佐賀大学医学部附属病院小児病棟でミール缶詰配布
■聖路加国際大学大学院看護学研究科 小児看護学
代表: 教授 小林京子(こばやし きょうこ)
研究内容: 小児看護学全般の知識・理論を基盤としながら、高度な実践および研究を用いて、子どもと家族のQOL向上の実現を目指します。さらに、子どもと家族のそれぞれの健康レベルに合った最大限の自立を促進する看護を探求します。実践や研究のフィールドは医療現場、保育園、学校など様々で、多施設協働研究も行っています。
URL: http://university.luke.ac.jp/faculty_and_research/pediatric.html
■本件に関するお問い合わせ・取材依頼は以下までお願い致します。
<プレ調査内容について・本件実施全般について>
特定非営利活動法人キープ・ママ・スマイリング
担当者名:若林美樹 (TEL:090−1430−1933 Email:info@momsmile.jp)
<今回の実態調査内容について>
聖路加国際大学大学院看護学研究科(小児看護学)
(TEL:03-3543-6391 Email:ncc@slcn.ac.jp)