聖路加国際大学についてUniversity Information

ご挨拶

学長・病院長 福井次矢

2016年4月1日付けで、聖路加国際大学学長に就任致しました。直近の任務である教育の質の向上、公衆衛生大学院の設置・円滑な運営に全力を尽くすべく、心新たにしているところです。
病院事業から始まった『聖路加』における正式な看護教育は、1920年に聖路加国際病院内に設置された聖路加付属高等看護婦学校に端を発します。1927年には(財団法人)聖路加女子学園・聖路加女子専門学校として病院から独立し、それ以来、看護教育と病院は互いに異なる法人のもとに管理運営されてきました。2012年に(学校法人)聖路加看護学園の理事長に就任した私は直ちに、今後、『聖路加』が学術的にも財務的にも大きく発展するためには、大学と病院を「一体化」することが必須と考えるに至りました。当時の文部科学省高等教育局医学教育課・村田善則課長から多くの貴重なアドバイスを賜ったおかげで、2014年4月1日付けで(学校法人)聖路加看護学園の名称を聖路加国際大学に変更し、同時に(一般財団法人)聖路加国際メディカルセンターにあった聖路加国際病院を聖路加国際大学に移譲するという「一体化」を実現することができました。
学校法人の名称からあえて「看護」を取り除いた理由は、一(いつ)に、将来、看護以外の領域の学部・大学院を増設することにありました。実際、「一体化」のめどがついた頃から公衆衛生大学院の設置に向けて本格的な準備を開始し、つい先ごろ(2016年3月)、設置申請書を文部科学省に提出しました。順調に行けば、2017年4月1日付けで開設されます。
私が自ら学長職に就いた理由の一つが、この「一体化」によってレールを敷いた公衆衛生大学院の設置を、責任を持って完遂することであります。そして、5、6年後には、先行する京都大学や東京大学の公衆衛生大学院に匹敵するだけの業績を挙げ、周囲から高く評価されることを目標に、最大限の努力を重ねる所存です。
『聖路加』は、わが国では最も早期に高度な看護教育を始めた施設の一つであり、4年制の大学への移行や大学院の設置にも積極的に取り組んできました。その結果として、多くの優秀な卒業生・修了生を輩出し、国内外の公的機関や大学、医療・福祉の現場で素晴らしい業績を残してきました。しかしながら、看護教育を4年制大学で行っている施設は250を超える現在、そのような過去の業績に安住することは禁物です。実際、日本の先頭、世界の先頭は遠くにあります。そのような現状認識のもと、まず行うべきは、「一体化」を成し遂げる過程で文部科学省に約束したさまざまな看護教育カリキュラムの改革-臨床実習の単位数を23から34に増やすとともに、さらなるアクティブラーニング型学習への転換、大学院における看護教育学上級実践コース(CNE養成課程)の新設、国際化の推進等-の着実な遂行であり、その教育成果(アウトカム)の実証であります。
上記の短期的な遂行義務に加えて、私は、聖路加国際大学の中長期的な役割ビジョンとして、次の3項目を思い描いています。第一に、「社会に貢献する人材を輩出し続けること」。そのためには、病院や学部の各職種各部署において、患者の視線、臨床現場の視線で教育過程を工夫し続けなくてはなりません。医療教育における世界の最先端の状況を知ったうえで教育改革を先導するくらいの気概を持ちたいものです。第二に、医療のさまざまな分野で「リーダーとしての地位を確保・維持すること」。そのためには、臨床・教育・研究面での高質性と先進性、独自性を達成・維持しなくてはなりません。第三に、「医療系総合大学に発展すること」であります。公衆衛生大学院の開設後、その運営が軌道に乗ったことを確かめたなら、メディカルスクール(4年制大学の卒業生を対象にした、大学院レベルでの4年間の医師養成課程)や医療職のための教養教育課程の設置に本格的に取り掛かりたいと思っています。
国が新たに設定した方針や社会の変化に伴う外からの圧力によって受動的に変革を図るのではなく、自らの意思で率先して組織変革を繰り返さなくてはなりません。まさに「生きた有機体」としての改善のサイクルをプロアクティブに回し続ける必要があります。それができなければ、長年にわたって先人が築いてきた『聖路加』の栄光はたちまち瓦解することでしょう。われわれの世代でそのような状況に陥ることのないよう、心して運営にあたる所存です。
(学校法人)聖路加国際大学の教職員、関係するすべての皆様には、このような状況をご理解いただき、今後4年間にわたる任期中のご協力、ご支援を衷心よりお願い申し上げます。

学長・病院長 福井 次矢