幼児期の夜間睡眠には昼寝の長さと夜の母乳授乳が影響することが明らかに
2021年02月04日
聖路加国際病院・中川真智子医師らは、睡眠パターンの基礎が形成される1歳半の幼児を対象に、夜の睡眠に対する添い寝と夜間母乳授乳の影響を調べた。健康な幼児106名にアクチグラフ(睡眠計)を1週間継続して装着し解析を行った。その結果、幼児の夜間睡眠時間の長さは夜間母乳授乳で短くなる一方で、添い寝は影響しなかった。これまでも夜間睡眠時に夜間母乳授乳や、アジア諸国を中心に多くみられる“添い寝”を行うと幼児の夜間睡眠が妨げられる可能性が指摘されていたが、ほとんどの研究がアンケート調査によるものであった。一方、今回の研究では睡眠計により“添い寝”が幼児の夜間睡眠を必ずしも妨げるものではないことを客観的に確認した。また長い昼寝も夜間睡眠時間を短くすることも確認された。
本研究の結果、子育て中の養育者に対して母乳の与え方や昼寝の長さを調節するようアドバイスすることにより、幼児の夜の睡眠不足が解消できる可能性及び、それに伴う養育者の不安や睡眠不足を解消できる可能性が明らかになった。今回の知見は、こどもの睡眠について悩む養育者の子育てをサポートしていくのに有用と考えられる。
発表概要
聖路加国際病院(院長・福井次矢)小児総合医療センター中川真智子医師らを中心とした、国立大学法人秋田大学医学部附属病院、国立大学法人北海道大学 北海道大学病院、国立大学法人金沢大学、日本赤十字社医療センター 、東邦大学医療センター大森病院らのグループは、1歳半の幼児の夜間睡眠時間は長時間の昼寝と夜間母乳授乳で短くなるが、養育者との添い寝には影響されないことを明らかにした。
この研究成果は、英国のオンライン科学雑誌『Scientific Reports』(英国時間2月4日午前10時;日本時間2月4日午後7時)に掲載されました(論文名:Daytime nap and nighttime breastfeeding are associated with toddlers’ nighttime sleep)。
共同研究者
1. 聖路加国際病院(院長・福井次矢)
・小児総合医療センター 中川真智子医師、草川功臨床教授
聖路加国際大学(学長・堀内成子)、小林京子教授、福冨理佳助教
2. 秋田大学医学部附属病院(病院長・南谷佳弘)
・精神科 太田英伸准教授、竹島正浩講師、三島和夫教授
3. 北海道大学病院(病院長・秋田弘俊)
・周産母子センター 兼次洋介研究員、長和俊診療教授
北海道大学(総長・寳金清博)
・保健科学研究院 安積陽子准教授
4. 金沢大学(学長・山崎光悦)
・人間社会研究域学校教育系/子どものこころの発達研究センター 吉村優子准教授
・子どものこころの発達研究センター 池田尊司助教
・医薬保健研究域医学系精神行動科学 菊知充教授
金沢大学附属病院(病院長・蒲田敏文)
・小児科 三谷裕介講師
5. 日本赤十字社医療センター(病院長・本間之夫)
・小児科 大石芳久部長
6. 東邦大学医療センター大森病院(病院長・瓜田純久)
・新生児科 與田仁志教授