教員・専門領域Faculty and Research

公衆衛生看護学

地域の保健・医療・福祉に関する様々な機関で、保健師や看護師などの看護職が働いています。地域看護の活動の対象は、地域で生活するすべての人々です。人々は、その人にとっての健康を保ちながら、また、病気や障がいを持ちながら、各々のコミュニティで生活を営んでいます。
人々の健康には、社会的な要因が複雑に絡み合っている現在、健康を個人やその家族の課題として、専門職が個別に援助するだけでは限界があります。近隣のネットワークや同じ課題をもった人々の集団の力を生かし、地域に住む人々や専門職が手を組み歩んでいくこと、未来を見据えた視点が大切です。

聖路加国際大学の公衆衛生看護学教室では、公衆衛生看護の理論を追求し、看護職が社会にどう貢献できるか、学生、大学院生と教員がともに議論し、時代が求める先駆的な教育・研究活動にチャレンジしています。

研究室教員

  • 職名准教授/Associate Professor
  • 担当分野公衆衛生看護学
  • 職名講師
  • 担当分野公衆衛生看護学
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野公衆衛生看護学
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野公衆衛生看護学

活動紹介

公衆衛生看護学教室は、大学院生・修了生・教員が共に様々な活動に取り組み、公衆衛生看護学の発展と実践現場への貢献を目指しています。

同じ志をもつ仲間との出会いや研究のプロセスを通して、新しいものの見方や考え方に気づいたり、実践の意味を考えることのできる場となっています。一緒に学びを深めていきましょう。

インフォメーション

2015年4月、大学院修士課程 公衆衛生看護学上級実践コース(保健師国家試験受験資格取得)を開講致しました。2021年3月までに、29名の上級実践コース修了生を輩出しています。

本学の建学の精神に基づいた看護専門指導者を広く社会に輩出するため、実践的能力を持ち、なおかつリーダーシップを発揮できる保健師を育成します。

保健師は、人々の健康で幸せな生活を実現するために、地域や職場の複雑で多様な健康課題に取り組んでいく専門職です。本学では、主体的な授業や実習を通して、保健師として必要な知識や技術、専門職としての姿勢を身につけることを目標とします。また、修士論文コースの学生とともに研究方法を学ぶことにより、研究結果を現場に生かす能力と、現場の課題を研究の中で探究する能力を育みます。

このような学習環境を通して、保健師活動で直面する答えのない課題に柔軟に取り組み、向き合い続けることができ、さらに現場でのリーダーシップを取れる人材となるように支援します。

大学院に関するご相談・お問い合わせは、麻原(asahara@slcn.ac.jp)まで。

研究活動

定期的な研究会や国内外の研究者を招いて学習会を実施しています。

  • 地域看護・公衆衛生看護学研究会:大学院生・修了生・教員のメンバーで毎月開催しています。ディスカッションを通して、互いに学び合いながら、研 究の難しさや楽しさを共有したり、多くの新しい発見を得る場となっています。
  • 国内外の研究者の招聘:国内外から研究者を招聘しセミナーを開催しています。各分野の第一人者から指導を受けることで、研究における視野を広げ、学びを深めることにつながっています。
  • 地域看護・公衆衛生看護学勉強会:2021年より開始している勉強会です。現在は、研究方法に関する勉強会を中心に行っていますが、今後は、公衆衛生看護の実践でも活用できる知識や技術に関する勉強会も定期定期に開催していく予定です。
  • 教員の研究:教員ごとのテーマに沿って独自にまたは共同で研究活動に取り組んでいます。テーマの詳細は、教員紹介をご覧ください。

教育活動

学部生、大学院生(修士課程・博士課程)への教育を行っています。 大学院修士課程では、2015年4月より公衆衛生看護学上級実践コース(保健師国家試験受験資格取得)を開講し、高度専門職業人として実践の場でリーダーシップをとれる人材の育成を目指します。また、2022年4月よりスクールヘルス修士論文コース(養護教諭専修免許取得)を開講し、子どもたちの健康課題やその解決のための方策を、学際的および体系的に学修・研究し、専門性および実践力の高い人材の育成を目指します(文科省申請中)。

  • 学部:講義・演習・実習を通して、地域看護(行政保健、産業保健、学校保健、在宅看護など)を幅広く学びます。
    地域・在宅看護学、公衆衛生看護学(基礎)、公衆衛生看護学(実践方法)、地域在宅看護学実習、公衆衛生看護学実習、看護研究Ⅱ(卒業論文)他
  • 学部(教職課程):講義・演習・実習を通して、学校保健について学び、養護教諭1種免許取得を目指します。
    学校保健、養護概説、教育相談の理論と実践、教職概論、教育原理、学校における健康支援活動、養護実習、教職実践演習演習 他
  • 大学院:地域看護学専攻(論文コース・上級実践コース)として行政、産業、学校の各領域について、一人ひとりの目的やキャリアプランにあったカリキュラムを組むことができます。

    ○修士課程 修士論文コース(公衆衛生看護学/スクールヘルス(養護教諭専修免許取得))
     基盤となる理論や研究方法を学び、地域看護実践の場における課題に取り組むための研究能力の開発を目指します。
    ○修士課程 上級実践コース(保健師国家試験受験資格取得)
     高度専門職業人として実践の場でリーダーシップをとれる人材の育成を目指します。
    ○博士課程
     基盤となる理論や研究方法を駆使し、地域看護の実践の場の課題を解決に導くために、自立して研究活動を行う能力や豊かな学識を養うことを目指します。

社会貢献活動

学会役員や講演会・シンポジウム等の活動に積極的に参加しています。また、行政機関等と協働しながら活動を行っています。

  • 日本公衆衛生看護学会 学術奨励賞(優秀論文部門) タイトル:自治体で働く事務職と保健師がとらえる保健師の仕事に関する認識
  • 第78回日本公衆衛生学会総会優秀ポスター賞
  • 日本看護科学学会第13回学術論文優秀賞を受賞しました。 Kiyomi ASAHARA, Wakanako ONO, Maasa KOBAYASHI, Junko OMORI, Yumiko MOMOSE, Hiromi TODOME and Emiko   KONISHI:Ethical issues in practice: A survey of home-visiting nurses in Japan, Volume 10, Issue 1, pp.98-108, 2013.
  • 第15回日本地域看護学会学術集会 メインテーマ「地域看護のフィロソフィー」[2012年6月23日(土)、24日(日)学術集会長麻原きよみ]を開催し、盛会のうちに終了しました。
  • 小林真朝、麻原きよみ:2010年度日本地域看護学会奨励論文賞を受賞しました。「市町村保健師による保健事業における委託の意味づけ —住民との関係性のとらえ方のパターンによる分析—」
  • 第14回日本在宅ケア学会学術集会 メインテーマ「その人の生涯と家族を 支える在宅ケア」[2010年1月23日(土)、24日(日)学術集会長麻原きよみ]を開催し、盛会のうちに終了しました。

過去の修士/博士学位 論文テーマ

上級実践コース課題研究

  • 2019年度
    行政保健師による外国生まれの結核患者に対する支援における難しさに関する
  • 2018年度
    組織内で事業化の承認を得るための産業看護職の技術
  • 2018年度
    地域で生活する精神障害者と地域住民の交流イベントがもたらしたもの
  • 2018年度
    香川県の一診療所における2型糖尿病有病者の食生活
  • 2018年度
    医療的ケア児に対する在宅療養移行期の行政保健師の支援
  • 2018年度
    女性生活困窮者に対して福祉事務所の保健師が行う支援
  • 2018年度
    就労移行支援事業所における発達障害を抱える人々が働き続けるための支援
  • 2018年度
    不登校支援のあり方の検討 : 不登校から社会で活動できるようになった経験者の語りから
  • 2017年度
    産業看護職による職場環境改善活動 : 労働者のメンタルヘルス対策を推進する技法
  • 2017年度
    地域における災害時身体要援護者対策の現状 : 保健師の役割と課題に焦点を当てて
  • 2017年度
    定年退職した男性の自主グループへの参加の経緯と参加後の変化
  • 2017年度
    子育てと介護を同時に行う女性への看護職の支援
  • 2017年度
    発達障害児をもつ母親の子育ての経験 : 就学移行期におけるよりよい支援に向けて
  • 2017年度
    1歳6か月健康診査における日本に暮らす外国人への保健師の支援 : 子どもの精神発達に焦点をあてて
  • 2017年度
    仕事をしながら介護を続けていくための要因

文献レビュー

  • 2020年度
    日本の女性の非正規雇用者が抱える困難に関する文献レビュー
  • 2020年度
    LGBT当事者にとっての働きやすさの考察
  • 2020年度
    東京都の私立小学校・私立中学校・私立高等学校の自然災害対策の実態とその養護教諭の役割認20識ー学校の安全管理者と養護教諭の質問紙調査ー
  • 2020年度
    国内小規模事業場におけるメンタルヘルスケアを推進する上での強みと課題: 文献レビュー
  • 2020年度
    産業看護職が直面する倫理的課題に関する文献検討
  • 2020年度
    地域の消防団の活動に関する文献レビュー~消防団員の活動に対する想いに焦点を当てて~
  • 2020年度
    高齢者の自主的な健康増進行動に向けた支援—効果的な虚弱予防のプログラムに関する文献検討—
  • 2020年度
    中学生および高校生における援助希求の生起要因についての文献検討
  • 2020年度
    子育て支援を行う住民組織の活動についての文献検討:活動の活性化に関連する要因に焦点をあてる
  • 2020年度
    地域における女性の健康増進活動に関する文献レビュー
  • 2020年度
    健康増進に関する住民のボランティア活動の文献検討
  • 2020年度
    精神障害をもつ親と子どもに関わる専門職・関係機関による親子分離前・親子分離中・家庭復帰後の支援内容に関する文献検討
  • 2020年度
    中学校の教員が精神的な問題を抱えている生徒へ行う対応と課題に関する文献レビュー
  • 2020年度
    外国人介護職の働きやすさに関連する要素:文献レビュー
  • 2019年度
    日本の女性の非正規雇用者が抱える困難に関する文献レビュー
  • 2019年度
    LGBT当事者にとっての働きやすさの考察
  • 2019年度
    東京都の私立小学校・私立中学校・私立高等学校の自然災害対策の実態とその養護教諭の役割認20識ー学校の安全管理者と養護教諭の質問紙調査ー

修士論文

  • 2019年度
    健康課題及び解決するための政策に関する地方議員による認識
  • 2017年度
    乳幼児を育てる働く母親の仕事と育児の両立に向けての産業看護職の支援
  • 2017年度
    企業において定年年齢到達後も就労継続している 60 歳以上男性の働くことの意味
  • 2017年度
    自殺未遂者支援のための地域連携システムを構築するプロセス—救命救急センター退院後、地域での支援につなげるための取り組み—

博士論文

  • 2020年度
    A有料老人ホームにおける“エンディングノート”を用いたAdvance Care Planningプログラム
  • 2019年度
    うつ症状を有する高齢者の包括支援プロジェクト
  • 2019年度
    今なお保健師であり続けているということ-重篤な状態あるいは死亡となった児童虐待事例を担当した市区町村保健師の経験-
  • 2019年度
    未就学児育児中の看護師のワーク・ファミリー・コンフリクトおよびその対処行動とアウトカムの関連
  • 2016年度
    在宅で生活する認知症高齢者家族のソーシャルサポート尺度の開発
  • 2016年度
    座業の多い勤労者の「運動」および「日常生活での身体活動」継続モデルの構築
  • 2016年度
    家族介護者が要介護者とともにある関係をつくり生活を再構築するプロセス
  • 2016年度
    病棟勤務経験後に訪問看護を始めた看護師の「訪問看護と職場への適応」と関連する要因および継続意欲との関連
  • 2016年度
    乳幼児を育てる母親の地域とのつながりを生む地域交流活動への参加と子育て・健康認識の関連
  • 2016年度
    行政におけるプリセプター保健師の能動的実践-先行要因と帰結との関連

院生の声

坂下優華(上級実践コース)
学部2年次の産業保健実習や学部3年次の地域看護学実習をきっかけに、日々の暮らしの中で医療職として人々に関わることができる保健師に魅力を感じ、上級実践コースへの入学を決めました。入学後は、先生方から研究や保健師時代についてお話を聞いたり、「自分が保健師だったらどうする?」と想像して事例検討をしたり、興味のあるテーマについてグループで勉強し、プレゼン資料を作って仲間に講義をしたり…。本コースに入学したら、毎日何かしらに追われていて辛いと感じることもあるかもしれませんが、同期と共に公衆衛生看護のあらゆるテーマについて存分に探求し、語り合える日々が待っていると思います。

堀桃子(上級実践コース)
大学院に入学し、自ら学びを深めていく楽しさを実感しています。専門科目だけではなく、公共哲学などといった様々な側面から公衆衛生を学ぶことができます。こなさなければならない課題も多く大変ですが、親身にご指導くださる先生方や、やる気に満ちた同級生に支えられ勉強しています。また、他の領域の学生とも授業を受けたり、プレゼンテーションを共に行う機会を通して、様々な価値観を知ることができます。短い期間ではありますが、人生の中で貴重な2年間になると思います。

百武ひとみ(修士論文コース)
社会人入学で修士論文コース(標準修業年限3年)で学んでいます。公衆衛生看護学の必修科目では開講時間の調整をしていただき、予想していたよりも仕事に支障をきたすことなく履修することができました。また、保健師資格の取得を目指す同級生と学ぶことで初心にかえることができました。現在は研究に取りかかり始めたところで、研究者として新たな知を創造するということについて考えさせられる日々です。実践の中でも研究的思考が求められることはありますが、それとは少し異なる難しさややりがいを感じています。

山谷 麻由美(博士後期課程)
大学院ではたくさんの学びを得ることができており、学習できる幸せを感じています。ゼミや研究会では他の院生の考え方に触れ刺激を受けることができています。