教員・専門領域Faculty and Research

ウィメンズヘルス・助産学

ウィメンズヘルス・助産学専攻は、ウィメンズヘルスと助産学の2つの分野からなります。ウィメンズヘルスは、女性の一生涯にわたる健康という視点から、心身社会的な健康の側面を統合的に捉え、女性の体験および意思を尊重した個別的なケアの提供を目指します。助産学は、主に妊娠・出産・育児期にある女性が元来持つ力を最大限に引き出し、安全で安心できる環境の中で、女性と家族との恊働し支援を展開します。ウィメンズヘルス・助産学では、Women-centered care(女性を中心にしたケア)を重視し、実践と研究を推進しています。さらに、日本において発展させてきた細やかで温かいケアを、国際的な支援活動として広げていっています。ウィメンズヘルスでは、上級実践コース(母性看護CNS)と修論コースがあります。助産学は、上級実践コースとして助産師国家試験受験資格取得とタンザニア連合共和国母子保健支援ボランティア連携事業の2コース、修論コースがあります。ご自身のキャリアプランに合わせてお選びください。

研究室教員

  • 職名教授/Professor
  • 担当分野助産学
  • 職名教授/Professor
  • 担当分野助産学
  • 職名教授/Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス
  • 職名准教授/Associate Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス・助産学
  • 職名准教授/Associate Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス・助産学
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス・助産学
山本 真実
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス・助産学
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野ウィメンズヘルス・助産学

活動紹介

ウィメンズヘルス・助産学では、研究、教育、実践、社会貢献活動を幅広く行っています。教育活動では、大学院におけるウィメンズヘルス・助産学の専門科目に加え、学部では周産期看護学やセクリャルヘルスを担当しております。研究活動は、各教員がそれぞれ追求する研究領域を持っており、学会発表や論文投稿を行っています。文部科学省の科学研究費を始め、多くの研究助成を受け、研究を精力的に進めています。また、学問分野への功績が認められ、数々の受賞も受けています。博士後期課程の学生は、教員の研究のリサーチアシスタントとして、研究の実際を学ぶ機会が多くあります。実践活動としては、本学研究センターにおいて, 死産等で子どもを亡くした女性と家族のためのサポートグループやカウンセリング、兄姉になる子どもと家族のための出産準備クラスなどユニークな活動を行っています。これらの活動は、新たな実践方法の開発と評価など研究と実践を結びつける場ともなっています。社会貢献活動として、東京都助産師会・日本助産学会・多文化社会研究会・日本助産看護T B L研究会・日本助産評価機構・東京くらし防災委員会など、会長や委員会委員として活動しています。

研究活動

ウィメンズヘルス・助産学を構築するために、教員はそれぞれ研究テーマを持っています。その中の一部をご紹介しましょう。堀内教授は、妊産婦の睡眠と胎動に関する研究、オキシトシン分泌を促進するケアの研究、タンザニアの母子保健向上に向けた研究等の結果を世界に向けて発信しています。片岡教授は、助産ケアの評価研究、助産所の安全性に関する研究、DVや虐待の予防と早期発見に関する研究を推進しております。五十嵐ゆかり教授は、在日外国人や難民女性の健康支援、災害時の母子支援に関する研究と実践を先駆的に行っています。増澤准教授は、妊娠期乳がんのケアに関する研究、妊産婦への分娩期ケアの情報提供に関する研究を行っています。岡准教授は、タンザニア農村部における妊婦の出産準備教育に関する研究を行っています。五十嵐由美子助教はタンザニアにおける帝王切開術後の早期母子接触に関する研究を実施しています。山本助教は、助産師の臨床判断能力に関する研究を実施しています。宍戸助教は、無痛分娩に関する意思決定や、妊娠後期から産後にかけての唾液オキシトシンに関する研究を実施しています。

教育活動

ウィメンズヘルス・助産学の教員は、学部と大学院の両方の教育に携わっています。学部では、主に周産期看護学、セクシャルヘルスを担当しています。周産期看護学は、女性の生理的変化と胎児・新生児の成長・発達や胎外生活適応への過程に関する理解を踏まえ、母体及び胎児・新生児のより良い健康を保持・強化するためのアセスメントおよび必要な看護に焦点をあてています。Team-Based Learning (TBL)による教授法をいち早く取り入れました。周産期看護学実習は、聖路加国際病院と聖路加助産院マタニティケアホームで行っています。
大学院では、ウィメンズヘルスおよび助産学の修士論文コースと上級実践コースを担当しています。助産学の上級実践コースは、助産師の国家試験資格を取得するコースです。講義のみならず、病院や助産所での実習指導も臨床スタッフと共に行っています。修士論文や課題研究の指導は、学生の興味や動機を大切にし丁寧に行っています。2015年度からウィメンズヘルスの上級実践コース(母性看護CNS)の教育を始めました。さらに、2014年より、助産学上級実践コースにJICA派遣コース(タンザニア連合共和国母子保健支援ボランティア連携事業)が始まりました。
 ウィメンズヘルス・助産学では、博士課程の学生も多数在籍しています。それぞれの研究テーマを深め、より質の高い研究論文作成に向けて、進めています。

社会貢献活動

東京都助産師会の「AYAの会」とともに、「あなたがいて幸せ」のキャッチフレーズをもと、小学校で「いのちの誕生」の教育を行っています。新たな試みとして、高校生へのキャリアプランに関する連続講座も始めました。また、中央区と協働し、妊産婦さんにプレママクラス(母親学級)を担当しています。
相談活動では、「女性のよろず健康相談」として、性・避妊・不妊・出生前診断・妊娠・出産・育児・更年期など、女性のライフステージの節目に遭遇する健康上の気がかりや悩みの解消をお手伝いしています。また、「Baby in ME」では、子どもを産み育てる人々にやさしい社会をつくりたいと考え、メールでの健康育児相談も行っています。BABY in MEはオリジナルグッツを販売しているほか、マタニティ・カレンダーはアプリになっています。
 多様な背景をもつ方々への支援として、外国にルーツを持つ女性とその家族に向けた18言語の冊子「ママと赤ちゃんのサポートシリーズ」作成し、提供しています。また外国人学校において、性教育のクラスを行っています。
 東日本大震災への支援活動として、岩手県陸前高田市の女性たちの声をもとに、女性の避難袋"オンナのなっても袋"を開発し配布しました。また、防災への啓蒙活動として、女性視点の防災の研修会のほか岩手県の会社とコラボレーションして手拭いを考案し、「レディのココロエ」として日本語版、英語版で販売されています。東京都が作成した「東京くらし防災」の編集も行いました

過去の修士/博士学位 論文テーマ

修士論文テーマ (2020-2022)
シンガポールに在住する日本人母子が求める支援の実態調査
出産満足度の測定尺度と関連する要因、満足度向上の支援の効果 スコーピングレビュー
ひとりひとりの経験に寄り添う 周産期喪失を経験した家族のお話会運営での配慮
産前産後の訪問看護に関する調査
思春期の意図せぬ妊娠の予防のための性教育実施に向けた助産師学生が習得すべき知識の探索 産婦人科医師へのインタビュー調査
産痛緩和法を選択する女性への意思決定エイドの開発と評価
母乳育児支援の資格を持つ助産師が大切にしていることと支援の実際
予期せぬ妊娠における意思決定エイドInstagram版の開発と評価
産後の女性が集団的運動プログラムに参加する動機や思いの探索 助産院でのインタビュー調査
妊婦の災害への準備行動に影響を及ぼす要因
妊婦に向けた周産期におけるDVに関する映像教材の評価研究
「産後ケア事業における評価質問紙」の信頼性・妥当性の検討
就業看護職者の月経随伴症状が仕事に与える影響
高年初産婦を対象とする出産・育児に向けた心とからだの準備プログラムの開発
包括的性教育を基盤とした家庭で子どもに多様な性を教えるための支援プログラムの開発
不妊治療を経験した産褥婦の心理に関する文献レビュー
Factors influencing abortion decision-making of adolescents and young women: a narrative scoping review
青年期の男女へ向けた乳児虐待に関する知識普及のための教育媒体の開発
自然分娩・無痛分娩を選択する女性への意思決定エイドの更新と妥当性の検討
産後ケア事業における評価質問紙の内容妥当性の検討
女子大学生の無痛分娩に対する認識および知識
周産期うつ病に対する鉄補給の予防・治療効果 文献レビュー
企業における働く女性へのプレコンセプションケアに関する健康教育の可能性 看護職へのインタビュー調査
女子高校生を対象とした月経不順に関する知識の提供と適切な受診行動を促すための教材開発
親になる過程において父親が体験する抑うつに関する文献レビュー
父親の産後うつの啓発のための教育媒体の開発 生後1年以内の児をもつ父親に向けて
母乳授乳の予想と現実 帝王切開術を行った母親の声
看護職へ向けた性の多様性についての教育教材の開発と評価
産後1か月の母親の身体症状と日常生活動作の実態調査
妊娠期からの母乳育児支援の実態と支援のニーズ調査
自母乳の補足としてのドナーミルクに対する母親の認識 文献レビュー
無痛分娩を希望している妊婦に対し助産師が行っている教育・支援の実態と助産師の意識
Experience of women with hypertensive disorders of pregnancy: a scoping review
新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛下における女性のDV被害と支援の実態
周産期の女性に対するBreast Awareness普及に向けた教育媒体の開発
外国にルーツを持つ生徒への性教育の映像教育教材の開発
産科に携わる看護職を対象とした乳幼児虐待の予防における関係機関との連携についての教材の改訂
助産所での出産を決めるまでのプロセス
助産師は無痛分娩をする女性をどのように支援しているか
Women's experiences of facility-based childbirth and their perceptions of women-centered care: a meta-synthesis
博士論文テーマ (2020-2022)
分娩中の硬膜外麻酔使用に関する妊婦と助産師の共有意思決定支援の実装
出産場所の選択における意思決定ガイドの効果
助産師に対する認知行動療法の活用に向けたトレーニングプログラム開発と評価
Effectiveness of an early skin-to-skin contact program for pregnant women with cesarean section: a quasi-experimental trial
Effect of the postpartum Green star" family planning decision aid on the uptake of long-acting reversible contraception among pregnant adolescents, Tanzania: facility-based quasi-experimental study design"
妊婦の胎児ボンディングとファシリテーター/レギュレーター指向との経時的関連
Effectiveness of an educational program for clinical educators to promote novice midwives' clinical judgment: cluster randomized controlled trial
不安障害のリスクを有する妊婦に対する認知行動療法を活用した介入プログラムの開発と有効性の検討 パイロットランダム化比較試験
ラオス学士看護学生のクリティカルシンキング力評価ツールの開発
Association between changes in salivary oxytocin levels from late pregnancy to early postpartum, and postpartum fatigue and maternity blues
Evaluation of an educational program for ostetric nurses and nurse-midwives: early essential care for breast milk expression for mothers of preterm infants
都市部の大規模病院で子育てのために短時間勤務をする同僚と働く看護職の仕事に対する認識に影響する要因
胎児異常を診断された女性を支えるバース&ペアレンティング・プランニング・プログラムの開発と評価
妊婦健康診査における社会的ハイリスク妊婦スクリーニングシステムの改善の試み
周産期領域の看護者を対象としたDV被害者支援に関するE-learningの開発と評価 ランダム化比較試験

院生の声

豊かな学びと様々な人との出会いに溢れた大学院で助産師を目指して

私は聖路加国際大学にて看護教育を受けた後に本大学院の助産学上級実践コースへ進学し、助産師を目指す道に進みました。本大学院の助産師コースには、聖路加の看護学部からの進学者だけでなく、他大学から進学した学生や臨床経験を経て進学した看護職の学生など、様々な経験を経た学生が在籍しており、日々切磋琢磨しながら講義や実習を共に乗り越え、2年間の学びを積んでいきます。
本大学院での学びは、助産やウィメンズヘルスに留まらず、フィジカルアセスメント、看護倫理学、看護研究法、コミュニティ論などに加え、自分自身の興味関心に合わせて、国際協働論や看護教育学などの講義も選択できます。また、これらを共に学ぶ仲間は、助産師を目指す学生だけでなく、様々な看護の分野で活躍している看護職の方々であり、講義を通して、互いの経験や価値観を共有し合いながら、看護職として必要な幅広い知識や視点を蓄えることができます。
助産師コースでの2年間は、これらの講義に加えて、演習、実習、就職活動、研究、国家試験など盛りだくさんの日々です。豊かな学びと様々な人との出会いに溢れた大学院で沢山の刺激を受けながら助産師を目指して日々邁進しております。
助産学上級実践コース(2022年度修了生):高橋莉抄