教員・専門領域Faculty and Research

在宅看護学

2019年度修了式

 病気や障害、年をとることなどは誰もが経験することです。自分がそうなったらどうしたいですか。Withコロナが言われていますが、私たちのくらしと健康問題は常にwithな状態です。暮らしにくさと共に生きていくことを支える、そしてその生きにくさの中でも希望に向かって生きていくことを助けることが在宅看護実践であると考えています。夢追い人かもしれませんが、人に対する差別なく、「大丈夫、やってみようよ」と言い合えるような社会の中で、みんなが居場所をみつけて暮らしていくことができることを目標に、個別の看護、家族看護、地域に住む人々の看護、時には政策立案に関わりながら、また、まちづくりも看護の役割に含めながら、ありたい暮らしを模索することに参画してみませんか。
そのためには人々と対話する力が必要です。多様な視点でアセスメントする力が必要です。相手にわかりやすく伝える力が必要です。これが看護だと思える信念が必要です。訪問看護だけではありません。退院支援、病棟での看護、外来での看護あるいは街中で、あらゆる場で在宅看護実践が求められています。
教員も、地域看護専門看護師や在宅看護専門看護師として役割を果たすため、教育だけでなく多様な場で看護を実践しています。刻々と変わる世の中で、変わらない力を身につけてほしいと思います。一緒に学び合いませんか。

研究室教員

  • 職名教授/Professor
  • 担当分野在宅看護学
  • 職名准教授/Associate Professor
  • 担当分野在宅看護学
  • 職名准教授/Associate Professor
  • 担当分野在宅看護学
  • 職名助教/Assistant Professor
  • 担当分野在宅看護学

研究活動

人々の健康増進や在宅看護に関連した研究活等を行っています。在宅看護研究会では、1-2か月に1回、大学院生の研究活動について交流の機会を持ち、修了生も含めた縦横のネットワークづくりを推進しています。
 <主な研究テーマ>
  ・新卒看護師の教育プログラム
  ・地域で看護職が行うグリーフケア
  ・死別を支え合う地域コミュニティの形成
  ・新しく訪問看護を始めた看護師の継続意欲
  ・訪問看護師育成のためのリスクマネジメント教育プログラム
  ・在宅療養移行期における意思決定支援
  ・漢方医学を学んだ看護師の実践

在宅看護研究会風景

教育活動

◆学部教育
地域・在宅看護学、地域・在宅看護学実習、総合実習等を行っています。これらの科目では、少子・高齢社会を支える地域ケアシステムを考え、療養者/家族、コミュニティへの健康増進や在宅療養を支援する方法を学びます。

大学院生との集合写真

◆大学院教育
前期博士課程では、在宅看護専門看護師取得に向けたコースと修士論文コースの2つを開設しています。特論を通して、在宅療養者を多角的にアセスメントする方法について学び、演習では仮想訪問看護ステーションの設置計画を立案するなどの学習から、修了後、自立して自由な発想を持って在宅看護実践を切り開くことができる能力を身につけてほしいと考えています。
後期博士課程では、研究者養成(Ph.D)コースと、2017年度からは、看護実践を科学するDoctor of Nursing Practice(DNP)コースが始まりました。

◆生涯教育
在宅看護に携わる看護師の卒後教育を行っています。
・認定看護師教育課程は、2020年度現在、訪問看護コースと認知症看護コースがあります。
・在宅療養移行支援に関わる看護師を支援する研修を行っています。
・新卒で訪問看護を始める看護師、それを育成したい看護管理者を支援する目的で「きらきら訪問ナース研修」を行っています。
詳しくは、コチラ↓
生涯教育部ホームページ
http://edu-sk.luke.ac.jp/course/list/

社会貢献活動

◆訪問看護の量と質の向上に向けた活動
 担当教授は、全国訪問看護事業協会理事、東京都訪問看護推進部会部会長、中央区在宅療養支援協議会会長などの立場から、訪問看護の充実に向けた幅広い活動を行っています。また、関連学会の理事、委員会活動や学術集会の運営に参加しています。

◆聖路加国際大学研究センター、PCC事業での活動
 健康ナビゲーションスポットるかなびの専門相談
 中央区ボランティア団体「家で死ねるまちづくり はじめの一歩の会」の活動支援

◆地域の健康支援活動
 中央区民カレッジ(まなびのコース・シニアコース)共催
 中央区在宅支援看護師連携会議への参加
 中央区多職種連携かもめケアネット

◆その他・・・
東日本大震災後の復興支援として、「きぼうときずな」プロジェクトとの協働事業に参画し、現在も支援を続けています。

「きぼうときずな」プロジェクトの様子

 

☆トピック☆

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多様な人々や機関と協働しました。

①厚生労働省の感染対策動画への協力

動画:訪問介護職員のためのそうだったのか!感染対策
https://www.youtube.com/playlist?list=PLMG33RKISnWj_HIGPFEBEiyWloHZGHxCc



②メール相談

今だから聞きたい言いたい!訪問看護相談室
http://edu-sk.luke.ac.jp/course/detail/293/

③シーツdeマスクプロジェクト ~どどけマスク、医療者へ!~


④都内保健所支援

院生の声

私は、訪問看護ステーションで約10年看護師、管理者として勤務した後、修士課程から学びを続けています。学びを再開して良かった点はいくつもありますが、在宅看護とは何であるかの整理をできたことは自身の糧となりました。生活を支える看護は、療養者・家族の人生を支えることにつながっているため、課題の解決は一筋縄ではいきません。大学院での学びでは、様々な視点でアセスメントする方法や理論を知ることができました。課題を俯瞰して見つめる態度が身につくと、そこには療養者や家族が病いと闘いながらも保持している夢や強みに出会えます。生活を支える看護には、夢や強みを核として生き生きと生活する人間を支援することなのだと思います。歴史と伝統ある本大学で一緒に学びを深めましょう。

博士課程 立川尚子
 

 

 

博士後期課程に進学し、入学当初から研究したいテーマはあったものの、最初の2年間は自分の臨床経験と研究テーマについて掘り下げ続ける日々でした。1年目は、来る日も来る日も講義でのプレゼンテーションの準備に追われ、学びながら自分の研究の方向がわからなくなったり、考え込んで出口が見えなくなることもたびたびありました。それでも、凝り固まった思考を少し柔らかくし、他の学生とのつながりもでき、大変貴重な時間だったと感じています。3年目ともなると他の学生と会う機会が減り、周りの動きが見えずに不安になることもあります。いつも研究のことが頭から離れないのですが、研究のこと等々、モヤモヤしたものを時に吐き出し合い、研究について語り合える人がいると、少し視界が晴れることもあります。これからもいろんな出会いを大切に、丁寧に研究を進めていきたいと思います。

博士課程 西田志穂

 

過去の学位論文・課題研究テーマ

修了年度 論文テーマ
2019 都市部大学病院の急性期病棟における退院支援の質改善
Quality Improvement of Discharge Planning in an Acute Care Unit of an Urban University Hospital
A区の訪問看護師のプリセプター育成のための実装研究
Implementation Study of Preceptor Training for Visiting Nurses in “A City”
小児病棟における「院内外泊」に関する文献レビュー
Simulation-Based Preparation Prior to Discharge from Pediatric Ward: A Literature Review
進行性の難病をもつ在宅療養者が紡いだ40 余年の闘病人生を解釈した看護実践の事例研究
A Case Study of Nursing Practice for an Individual in His/her 40 years of Fight against Progressive Intractable Disease
退院支援における患者と 看護師のパートナーシップを構築する対話の要素
Elements of a Dialogue in Discharge Support Through Reliable Partnership Between Patients and Nurses.
2018 インドネシア、南タンゲラング市における脳梗塞患者とその家族の入院中と退院後の体験
Experience of Ischemic Stroke Patients and Their Family Caregivers in South Tangerang City, Indonesia : Before and After Discharge
遷延性意識障害をもつ在宅療養者とその家族に対する在宅看護実践の事例研究
A Case Study of Nursing Practice at Home for a Person with Prolonged Consciousness Disorder and Her Family
両親がさらなる障がいを得た我が事の日常を取り戻すプロセスとその支援
A Case Study of the Process that Patients Adapt Their New Life with Their Child who Gt Another Disability and Nursing Support for Them
退院にむけた意思決定を促す看護実践についての検討- Dream Based Nursingへの挑戦- Effective Nursing Support in Encouraging Patients to Become More Active in Discharge Decision-Making –An Attempt in Dream Based Nursing-
2017 漢方医学を学んだ看護師の看護実践における体験
Experience in Nursing Practice of Nurses who learned Kampo Medicine
脳卒中による片麻痺のある独居高齢者が退院後の排泄動作を獲得するまでのプロセス
Process of Acquiring Excretory Behavior after Discharge in Older Adults Living Alone with Stroked-Induced Hemiplegia
急性期病院の外来看護師による在宅療養支援の在り方についての考察
Considering How Ambulatory Care Should be Provided for People Living at Home by Nurses
長期薬剤治療に伴う運動合併症をもつパーキンソン病者とその家族に対する訪問看護師の支援に関する事例検討
Home Visiting Nurses Support for Families and People with Parkinson’s Disease Having Motor Complications: A Case Study
2016 終末期がん独居高齢者の在宅療養継続を可能にした家族看護の事例研究
A Family Nursing Case Study Regarding an Elderly End-Stage Cancer Patient Living Alone
終末期にある高齢者家族への看護に関する事例研究 スティグマの視点から
Nursing Care for Families of Elderly at the End-of-Life : A Case Study through the Viewpoint of Stigma
医療的ケアを受けるこどもとその養育者が学校生活に対し抱く思いに関する文献レビュー
Challenges during School for Technology-Dependent Children and Their Parents : A Literature Review