チームビルディング力育成プログラム
文部科学省「専門的看護師・薬剤師等医療人材養成事業」
本プログラムは、聖路加国際大学大学院修士課程・上級実践コースにおいて、システムズアプローチと当事者中心の考え方のPeople-Centered Care(以下PCC)を基本概念とし、チーム医療を推進できる高度看護実践家の育成を目指します。
既存カリキュラムに、チーム力の育成を強化するプログラムを加え、1)システムアプローチとPCCの概念を学び、2)チームビルディング演習、3)モデルとなるチーム医療現場での演習、4)実習におけるチーム作りと段階的に学び、チームを作る力を育成し、さらにチーム医療の効果を評価する視点を養うことが目的です。
本プログラムの必要性
高度看護実践家には、チームで活動できる能力が備わっているべきであり、大学院でも実習でのチーム活動の実践に力を入れてきました。しかし、実習の場でチームに加わることや、チームを作ることが困難な現状がありました。チーム医療は様々なメンバーがそこにいれば成り立つものではなく、また、メンバーが個々のケアに関する詳細な専門知識と優れた技術を持っているだけでも成り立つものではありません。真にチームを組んで医療を推進できるには、集団の力動やダイナミズムを理解し、チームを作るという明確な意思とチーム作りの方略が必要です。またチーム医療の推進には、その効果を研究的アプローチで実証していく能力の育成が必須です。
2012年度の計画
2012年度は既存カリキュラムにチーム力の育成を強化するプログラムを単位化して実施し、加えてモデルとなるチーム医療の現場での演習を行います。それとともに、プログラムの評価と臨床教員・実習担当者会議を開催し次年度の充実したプログラムの実施を目指す準備を行います。
4月~5月 | PCC特講の講義実施 |
9月 | 学際的チームビルディング演習開講(ミシガン大学より講師招聘) |
10月~ | モデルチーム医療演習の開講 |
3月 | 臨床教員・実習担当者会議の開催 |
3月 | 学生・教員・臨床教員による評価 |
本プログラムの内容
- チームの動きを理解するために、システムズアプローチとPCCの概念を理解し、チーム医療を進める際の基本的姿勢を培います。講義方式で1年前期に展開します。
- チームを作る力の育成を図るため、ミシガン大学の学際的チームアプローチによるプログラムを導入します。2泊3日の集中演習で、チームを作る方略を身につけます。この演習にはミシガン大学から講師を招聘し、1年次に開講します。
- 現在の医療現場では高度看護実践家がその活動を開拓している状況であり、優れたチーム医療が展開されている場はまだ少ないことから、他領域のモデルとなるチーム医療に触れ、目指すチーム医療のイメージを造ります。1年後期から2年前期の早いうちに展開します。
- 現状の課題確認と本年度実施したプログラム内容の説明、協働する教育内容の打ち合わせ、および本プログラムの評価の依頼等を行います。
- プログラムの進行に合わせて、本プログラムがチームビルディング力を育成できるプログラムかどうかを評価します。 各ステップの評価:学生及び教員(臨床教員を含む)による評価を行います。
本プログラムから得られる具体的な成果
上記の本年度の計画を実施することにより、得られる具体的な成果は、以下のとおりです。
- PCCの概念とシステムズアプローチ理論に関する講義を実施することにより、チーム医療を進める際の基本的姿勢を培う事が出来ます。
- ミシガン大学の学際的チームアプローチによるプログラムを実施する事により、学生にチームを作る方略を身に着けさせ他職種との連携が図れる人材養成と共に本学スタッフが責任者となれる環境を整える事が出来ます。
- モデルとなるチーム医療に触れる事により、チームを作るという明確な意思とチーム作りの方略を学ぶ事が出来ます。
- 現状の課題確認と、本年度実施したプログラム内容の説明、協働する教育内容の打ち合わせ、および本プログラムの評価の依頼等を行うことにより次年度のプログラムを円滑に実施させることが出来ます。
- 学生及び教員(臨床教員を含む)による評価を行う事により、さらにプログラムを充実させ本学がモデルケースとなる事で看護教育の発展に寄与する事が出来ます。